第3話 〃③

さて、新学期、四月と言えば、委員会決めや、模試などがある。


模試では、特に勉強をしていったりはしないので、言うことはない。


強いて言うなら、自己採点結果がもう一人の鈴木千尋と全く一緒だったことくらいだ。


しかも、複数あった模試の、全てでだ。


とはいえ、たいしたことではない。


問題は委員会決めだった。




委員会は一年間同じものをやる。


だから、慎重に決めなければならない。


出番の多い委員会や、召集の多い委員会はNGだ。


去年の記憶から、図書委員と美化委員等がこれに当てはまる。


また、特に推薦とかを狙ってるわけでもない上、先生からの信頼度をあげておく必要も特にないから、学級委員になる必要もない。


すると、年に一度の行事でだけ動く委員会が望ましい。ついでに言えば、目立たなければなお良しだ。


というわけで、僕が選んだ委員会は、




文化委員だった。


これは、文化祭でのみ働く委員会で、それ以外の場では仕事無しだ。


さらに、全クラスから二人ずつ選出してやるため、一人一人の負担もそう多くはないはずだ。


さらに、仕事は裏方ばかり。これは、僕が去年の文化委員を覚えていないことから判断した。


体育委員と迷ったが、これは確か、三ヶ月に一度くらいの頻度で備品チェックがあった気がするのでやめた。


というわけで、僕は、文化委員に立候補した。




問題はここで起きた。




同じことを考えるやつは多かったようで、ここでは、八人が手をあげたのだ。


さあ、じゃんけん大会の始まりだ。


負ければ、残った図書委員か美化委員に始まる、選ばれなかった面倒な委員会に入ることになる。気を引き締めよう。


負けられない戦いが始まる……。


と、思ったのだが、




「よし、成績順にとってくぞ~」


先生の発した言葉で、クラスは凍った。


「当たり前だろう。ここはそういう学校だ。ああ、一年生のときはそこまで意識させないようにする方針だったか。まあ、これからはそういうことで行くことになる。覚えておけ。ついでに言うと、この順番は、定期テストの度に変わる。わかるな?」


そんな威圧的な言葉があって、人数がオーバーしていた委員会を、順に担任が決めていく。


結果……。




「続いて文化委員だが……。お、これは、鈴木千尋二人だな、まあ、一年頑張れ」


ということになった。




後ろを向いて、僕は言う。


「あ、まあ、よろしく」


「うん。よろしくね」


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