第2話 〃②
答え合わせの後で聞いたのだが、彼女は去年はB組に居たのだそうだ。
なんでも、入学試験の途中でお腹が痛くなって、途中退室したのだそうだ。
つまり、その時にはもう合格を確信していたというわけだが、それならば、もう少し我慢してみて、A組に入ればよかったのにと思う。
なぜなら、この学校では、クラスごとに授業料が違い、A組の分の授業料は、他クラスがB:C:D=1:2:3の比で負担することになっており、つまり、A組だけは、払うお金が以上に少ないのだ。
まあ、そんなことを気にする必要がないくらいには裕福なのだろう。
かく言う僕も、昨年はD組に居たわけだから、両親には多大な負担をかけていたわけだが。
まあ、今年の分と合わせて平均をとれば、各年において、一年分よりも少ない額の負担しかしていないので、プラマイで言えば、プラスになってはいると思うのだが。
とはいえ、前述のように、クラス数は減っていくので、A以外のクラスにいれば、年々負担は増加していくから、今年A組に入れたのは、よかったと思う。
閑話休題。
そう、彼女も、去年はA組ではなかったという話だ。
だから、友人はこのクラスには多くはいないらしい。
そして、同じ境遇の僕に、友だちになってほしいということだった。
当然、僕は喜んで、その申し出を受けた。
「というわけで、これからよろしく」
そう言いながら差し出した僕の手を、彼女が「うん、よろしくね」といいつつ握り返したとき、教室の扉が開き、担任の先生が来た。
「よーし、全員揃ってるな。これから一年お前たちの担任をする、太田だ。まずは、おめでとうと言っておこう。これから一年間、君達は栄誉あるA組の生徒だ。ただし、調子に乗るんじゃないぞ、来年もまた、このメンバーがA組であることを願う」
それは、これから一年、油断をすることなく、勉強をし続けつつすごせということだろう。
全員がそれを理解したのか、
「「「「はい!」」」」
という声が、教室中に響き渡った。
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