第2話 8月21日(土)

「ただいま。今日の日記を書くよ」

「音声日記を起動。8月21日の記録を開始します」


「今日、デートだったんだけどさ。映画も面白かったし、彼女も喜んでくれて、大成功だよ」

「それは良かったですね」


「そうなんだ。けど、またしばらく忙しいみたい。向こうはサービス業で休みが重なる日も少ないし」

「そうなんですね。彼女の情報を更新しました」


「そうなんだよ。飲食店の店員なんだけどさ。今日は誕生日だからって特別に休めたようなものだって言ってた」

「平日の夕食へ行くことはできないのですか?」


「いや、まぁ、出来るだろうけど。俺も疲れてるし、向こうも疲れてるだろうし」

「そうですか。では、一緒に暮らすことで時間を増やす方法はいかがですか?」


「ちょ、ま、まだ早いって! 付き合ったばかりで同棲とか、早いから」

「冗談です」


「機械も冗談とか言うんだな」

「人工知能は学習をしますので」


「ははっ。なんか、友達と話してるみたいだ」

「光栄です」


「今日は少ないけど、このくらいかな。続きの記録は明日するよ。まだデートの余韻に浸ってたい」

「記録を終了します。本日の日記を確認しますか?」


「あー、いや。今日はいいや。おやすみ」

「登録を完了しました。おやすみなさい」

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