神田 武 ②

「それよりさ、たけちゃーん」



歩のこの呼び方の裏には頼み事がまっている。


「なに?」



「今日さ、合コン。行こう!」


ご…合コンときたか。


僕は女の子が苦手中の苦手だ。


いわゆる、草食とか言われるけどそもそもベジタリアンでもないのに。草食なんて言われたくない。


女の子を肉に例える世の中にうんざりする。


「合コン興味な…」



「ない!っていいたいんだろ?」



ザーザーザーザーザーザーザーザーザーザー


雨が強くなる。

歩の声が聞こえないほどの雨音。


「てか、雨ヤバくない?もう、傘の意味ないんだけど!」



僕は周りを見て、とりあえず雨宿りを提案し

近くのファッションビルに入った。



「ふー…なんなんだよ、この豪雨…つーか電車止まってる可能性あるよな」



時計を見ながら歩が言った。


確かに、この数分で道路に水がたまりつつある。


「電車止まってたら帰れないなぁ…」



チリリリリン


二人の携帯…いや、周りの人の携帯も一斉に鳴り出した。



「な、なんだ?」


歩も僕も携帯電話をおもむろに取り出した。


周りの人達も立ち止まり、携帯電話を見ている。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る