第4話 魔力帯びた獣は魔獣だ
完成した星は思った以上に広大だった、地球の10倍舐めていたのかもしれない。
広すぎて空白地帯が各地に点在し管理が出来ない、こともないがというよりも管理が面倒になってきたのだ、例えると領地を欲張って管理の出来ない国のようなものだろうか?いやそのまんまなのだが
まぁ過ぎた事はしょうがない、どうしても気に入らない場合は創り直せば良いのだ楽観的にいこう。
とはいえ次は山や川の設置なのだがこれがまた難しい、山は適当に隆起させて創ったり島の残骸を整えたりで割と簡単に作れるのだが川はそう甘くない。
ただ作っただけでは流れてくれない、仮に流れたとしても流れておしまいだ、山や地面に貯水されていないから当然といえば当然なのだが、問題解決のために雨を降らせてみたりはしたのだが急激な貯水って言うのは出来ないようで、泥水の塊のような山が数個完成したした辺りで諦めモードだ。
無残な山だった物を眺めながらチベットスナギツネの様に遠い目をして、どうすればいいかと悩んでいると透が話しかけてくる。
「司様、ここは司様の箱庭なのですから一々物理法則等の法則に従う必要は無いのではと、ボクは思います」
透の言葉に私は確かにと気が付いた今まで散々法則を無視して来たのだ今更だと言える、食料しかり水しかりこの箱庭だってそうだ。
主に無視してきたのは質量保存の法則のような気がしないこともないが、今までガン無視を決め込んでいたのに今更になって従いますなんて誰が信じるだろう?少なくとも私は信じない。
「確かに…透の言う通りだ、そうだな川は流れるものだとしておこう」
こうして川問題は一瞬で解決された、あまりにあっけない幕切れだったが透がいなければ後どれほど山だった物を眺めて黄昏ていたのかと想像する、うむ多分途中で飽きて小屋に引き篭っていただろうと確信する。
山と川はあらかた創り終えた、もちろん自然に川ができる余地を残している、まぁこれは完全に自己満足だがこの箱庭は元々が自己満足の部類だからね、ナイアガラの滝みたいなのが出来るのを密かに期待をしているんだ、いや創れば出来るんだが気分の問題なんだ分かってくれ。
さて次は植物を創り出して透に言って全ての大陸と島国に植えてきてもらった、数えるの億劫な数の島に植えるなんて私はやりたくない。後で透を褒めておこう。
ここで初めて分かった事なんだが私の脳内には検索エンジンの様な何かが入っているようで、現実世界の事はこの検索エンジンが許す限りは把握できる。
つまり便宜上生前の記憶に依存していない、知識のない植物を植えることも可能なようで、見たことがない植物だと思った植物が絶滅種だった時は流石に笑ったものだ、調子に乗って平行植物なんてものも出して遊んだがまぁ誤差だろう。
そもそも見えるたぐいのものではないから人間を創っても気づかれないのではと思っていたりもする。
ちなみに箱庭世界に限って言えばもっと詳細に理解できるみたいだ、例えば何処に何があるかとかは意識を向ければ分かる、透を実験台にどこにいるのかを把握してみたり、心を読むなんて事もできる。
私の人間離れが最近ひどい気がしてならない、神とか言われても最近は割と本気で反論できなくなっているが、あくまでも私は夢の主だ。
話しは逸れたが植物の配分は透の独断と偏見だ、いずれその植物がその土地固有の植物となる事だろうと予測している、こうして各大陸で独自の植生を持った植物たちが活発に取引されれば良いと僅かながら期待をしていたりもするのだ。
次に私が取り掛かったのは大気にマナを含ませることだった、マナとは生物が魔法や魔術を使うにあたって必要である魔力に変換可能な要素の事であり生物は魔力を使い様々な事象を起こせるものとする。
マナは大気中に満ちており私が創った無機物から微量に発生し大気に蓄積する、質量を持たない性質を持たせて無限に箱庭が貯蓄出来るようにしよう。
そして生物は誕生した時点では魔力を持っておらず、マナを取り込み蓄積することでようやく魔力を帯び始め、行使することが出来るようになる。
だが魔力を帯びたからといって魔法や魔術は行使できない、魔法は魔力を効率よく使う方法の総称とするので当然といえば当然だ、魔術は魔力を使う技術とするので魔法より難易度は高いだろう、多分。
そういう設定にして創造しているのだから、破綻はないだろう。まぁ深刻なエラーがない限りはこの設定で行こうと思う。
バランス調整が割と難しいがトライ&エラーの精神でゆっくりと考えていこう、まだ魔力を帯びた生物すら居ないのだ、もし仮に魔力を帯びた生物が現れたとしても魔力操作をするだけの生物になるだろうさ、方や術と呼ぶには些か拙いものだろう、仮にそんなすぐに使いこなされても困りはしないが反応に困るというものだ。
ちなみにマナから精神生命体が発生する条件など色々考えているので、その内誕生するのではないかと期待をしている、精霊とか悪魔とか天使とかそういうのはロマンだと思う訳で創らないわけにはいかないと私の独断と偏見が言っている。
さて次は動物の配置だ、これも島限定や大陸限定のものを用意する。検索エンジンのお陰で恐竜などの絶滅種を配置したり、鼻行類や
あとはアフターマンで世界三大奇書はコンプリートだ。
うん嬉しくないね。
大陸を用意し海を創り、島や山や川を整えて、植物や動物を放つ、バクテリアなどの小さな生物や菌も完備している。鉱石は若干オリジナル要素とファンタジー要素を混ぜたが私が楽しいので問題はない。
そんな感じで後は人間を配置するだけとなっていた。
割と長かった様にも短かった様にも感じる多分私の人生と同じくらいの時間を掛けて創ったのではないだろうか、消す時は一瞬でも凝って創ると時間は掛かるものだと実感する、まるで波打ち際の砂の城でも作ってるような気分だ。
実際結構楽しかった、ジオラマを作っている様な感覚だったのかもしれない、まぁ実際にジオラマのような物なのだがね。
それも後は人間を配置するだけだ、ちなみにここで言う人間は亜人種も含めての人間だ、獣人やエルフの居ないファンタジー世界なんてカレーの入っていないカレーライスも同然だ。
私が達成感と感慨に浸り翼を生し大空へと飛び立つ、普段は地上からコツコツと作業をしていたので空から見るのは実は初めてだったりする、というのも完成してから一気に見たほうが、より達成感があると思ったからだ、作業自体は地上からでも十分把握できるわけだしね、楽しみは取っておいたんだ。
上空より完成した箱庭を眺めていると、天球の見回りをしていた透がこちらに飛んでくる。
……透、君空飛べたのか。
私は翼を生やすことが出来るけど君どうやって飛んでるの?疑問は尽きないが透の心を読むのは負けた気がするのでやめておくことにしよう、もしかしたら創造の過程で付いちゃったものかも知れないしね。
「司様!魔力を帯びた変異種が現れました!」
動物を放ってから数十年ようやく魔獣が現れたようだ。
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