第49話

 「あの力とは封印の事ですの。お姉様」

 「え? それは、マイステリー様がお持ちなのではないのですか?」


 お姉様も驚いている。まさか私がですよね。誰だって驚くと思う。そして考えにも及ばない。


 「私の魔力が、池の中の魔力を取り込み、黒い影を包み込んで封印したのを見たそうです。それで、お姉さまが聖女だと気がついたとおっしゃっておりました」

 「そう。役に立ったのならよかった。聖女だと言われていても自信がありませんでした。この魔法の国で、魔法を持たず他人を助ける能力。自分で行おうと思って出来る事でもないようなのです。なので、悪事に使われる可能性もある為、身の安全の為に、おじいさまとお父様しか知らないのです。後は、陛下とリゾール様のみ」

 「マイステリー様もそのように言っておられました。ですので、婚姻の発表まで秘密にするはずだと」


 お姉様はそうですと頷いた。


 「覚悟を決めて婚約者になったものの周りは冷たかったですわ」

 「全然知りませんでした」

 「あなたが入学する事を私は不安に思っておりました。私と同じく、魔法を使えないあなたも、冷たくされるのではないかと。まさか入学早々に、婚約するとは青天の霹靂ですわ」

 「はい。いいご縁があってよかったです」

 「私も一安心です。あなたに魔力があり、魔法も使える事がわかったのですから。私が聖女となっても問題なく、卒業できそうですね」

 「それはどうでしょうか? 私は、魔法クラスになるそうなのです。魔力はロッドに入れれる様になりましたが、使えこなせるかどうか……」

 「それですよ。自信を持って、ユリーナ。あなたなら出来ます。おじいさまとお父様の血を引いているのですから」

 「はい。そうでしたわね!」


 自信を持つ事。それが大切でしたわね。


 「ところでユリーナ。あなたは何を願ったのですか? 願ったから池の中に魔力がこもったものがあったのですよね? もしかして一目ぼれでしたの?」


 そうでした。入学してすぐでしたものね。池でのイベントは……。


 「みんなを守って下さい。みたいなお祈りですわ」

 「なぜ、そのような?」


 不思議そうにお姉様は、私を見ている。


 「こ、怖い夢を見て不安だったのです。願いが叶うと聞いたので投げ入れたのですが……」

 「あなたは、そういう所が少し変わっておりますわよね。でも結果として、それで本当に守って下さったのですから、凄い池でしたのね」

 「そ、そうですね。叶えてくれましたわね」


 お願いしておいてよかったわ。

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