第41話
「深呼吸して」
私の補習は、ラワーヌ様と二人で行う事が多くなりました。私が補習を受けている間マイステリー様は、校内の見回りして一緒に帰ります。充実した日々を送っていた。
「ユリーナさん! 目を開けてごらんになって!」
「え?」
「わかりますか。ロッドにあなたの魔力が流れているわ」
「本当ですか!?」
「えぇ!」
「ありがとうございます!」
「感覚を掴めば、普通に出来る様になるわ。おめでとう」
「嬉しいです。いつもいつの間にかで……」
「では、今日はここまでにしましょう。疲れたでしょう?」
そう言えば、少しクラクラするわ。
「まだ迎えが来る時間には少し早いわね。そう言えば、あなたのお姉さんですが、本当に魔法を使えませんの?」
お姉様の事を知っていたのね。って、リゾール殿下の婚約者だもの知らない方が変よね。もしかしたら、お姉様の妹だから引き受けて下さったのかもしれないわ。
「あなたも含め家族全員魔法を使えるのなら、あなたの様に本当は使えるのではないかと思いましてね」
「うーん。一緒に練習をしていた時期もあったのですが、その兆しはありませんでした。でももしかしたらおるかもしれませんが、お姉様は別に使えなくても宜しいと思っている様ですわ」
私に付き合ってやってみた事があったけど、やっぱりダメねってすぐにやめてしまったけど。
「そうですか。ですが、使えるかもしれないのであれば、努力なさってほしいのですが。リゾール殿下の妻となるのならそれが当然だと私は思うのです。放棄するなど……あ、ごめんなさい。」
「確かにお姉様も学園に入る前から魔力がないとわかっていました。ですが、リゾール殿下もそれでいいとおっしゃってくださっているようです」
「そう。それに甘んじているわけね」
「え?」
甘んじている? そうなのかしら。
リゾール殿下のお相手になるなら、魔力を持っている方が望ましいのは確か。でも、お姉様が選ばれたのだから問題ないのでは……。
「何でもありませんわ。もしよろしかったらお姉さんもご一緒にと伝えて下さらない? なかったとしても学園にいる間は、努力してみるべきだと。ね? あなたもそう思うでしょう?」
そう言われればそうだわ。そうすべきよね? お姉様はなぜそうなさらないのかしら? 一緒にやれば、私の様に出来るようになるかもしれないわ。
「はい。そうですね。言ってみますわ」
「ありがとう」
そうよ。ラワーヌ様ならお姉様の潜在能力を引き出して下さるわ!
今日帰ったらさっそ誘ってみましょう。
「終わったかい?」
「あ、マイステリー様! 見て、私、魔力をロッドに入れられたのよ」
「凄いじゃないか! ご指導、ありがとうございます」
「いいえ。彼女は努力家ね……。―――って」
最後の方は聞き取れなかったけど、ラワーヌ様に褒められましたわ!
こんなに満たされた気持ちは、久しぶりです。
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