第39話
その後、池を調査したところ、驚く事に封印が施されている事がわかった。
マイステリー様のお父様の言う通り、アイテムが発動したようだったのですが、水を抜くと封印が解けるようなので、このままにする事となった。
池には柵と看板を立て監視員も置き、物を投げ込まない様に注意書きをしました。
こうして、池が何とかなり、国が亡びる事もなくなったでしょう。
めでたしめでたし――とはなりませんでした。
先生に言われたのです。私も魔法クラスになる予定ですと。ですが、ロッドに魔力を自由に入れられもしない私は、このまま進級しても赤点になるので、進級までにせめてロッドに魔力を込められる様になりなさいと、指導を受けてしまいました。
「はぁ……どうしましょう。全然うまく行きませんわ」
ドン!
「きゃ、ごめんなさい」
トボトボと歩いていると人とぶつかってしまった。
「私こそごめんなさい。はい」
「ありがとうございます」
拾ってもらったロッドを先生に見せて魔力が入っているか確認して、今日もロッドを持って家に帰ってミャと遊ぶのです。
なぜかミャは、このロッドがお気に入り。
「先生。確認お願いします」
「こ、これは! 魔力が入っているわ! どうやったか覚えてる?」
「え? いつもと同じなので……」
「そう。体調はどう? 魔力の加減わからなくて、前は倒られたって聞いたけど、平気そうね」
「はい。大丈夫です」
お姉様に、早く伝えたい。
一緒に帰る為に待っていたお姉様に私は元気よく手を振る。
「魔力が入っていると言われたわ」
「まあ、おめでとう」
お姉様が、自分の様に喜んでくれた。
□
「お父様! ロッドに魔力が入りましたの!」
私は家に戻って、帰って来たお父様にロッドを見せた。
「何! 出来たか! うん?」
なぜかロッド見て、顔を曇らせた。何か変なのかしら?
「これは自分で入れたのか?」
「たぶん……」
「本当にそうなのか?」
「どういう意味ですか?」
「これは、ユリーナの魔力と質が違う」
「え!? 違う? でも私のロットよ」
どうして違う人の魔力が入っているの?
「誰かに触れさせたか?」
「いえ……あ!」
そう言えば拾ってもらったわ。あの時かしら? そんな簡単に無意識に入ってしまうものなの? だとしたら羨ましいわね。
「人とぶつかって、そのロッドを拾って頂きました。先生以外で他の人が触れたのはそれだけだと思います」
「そうか。やり直しだな。まあ頑張りなさい」
お父様は、私の頭をポンポンしてそう言った。
「はい……」
「ユリーナ元気出して」
「はい」
そう言われても、嬉しかった分ショックが大きいです。はぁ……。
マイステリー様は、ヒールを使えるだけではなく、魔力を移す事もいとも簡単にできていた。本当に私に魔力があるのかしらと疑ってしまう。
そう思って落ち込んでしまう出来事でした。
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