第21話

 何を企んでいるのかと、悶々と考えていたらまた寝不足だわ。目にクマが出来ちゃったわ。

 どちらにしても今日学校に行けばわかる事だわ。

 でもやっぱりちょっと怖いわね。宣戦布告したぐらいだからそれなりの事が起きるのよね?


 「おはようございます」


 無視されようとも、朝の挨拶はしておかないとね。って……。何、この雰囲気。


 「よく、来れたわよね」

 「もみ消したらしいわよ」


 そんなひそひそ話が、耳に届いた。いや、ひそひそ話をしている様にしながら私に聞こえる様に言っている。

 それより肝心のルミージュ嬢がいないわ!


 「ユリーナさん。ちょっと来てください」

 「はい……」


 先生に呼び出された。一体、何が起きているの? 嫌な予感がするわ。

 連れていかれた先は、学園長室だった。彼女が言ったように、何かが起きている!


 「え? お姉様……」


 学園長室には、学園長にリゾール殿下、お姉様にマイステリー様もいらっしゃった。何か噂が立っているようだけど、その確認だけにしては、重々しいよね。


 「今、みんなから話を聞いていた。ユリーナさん、あなたはルミージュさんを蹴り飛ばしたそうだね?」

 「え? 蹴り飛ばした?」


 校長先生の言葉に、私がお姉様を見ると、なぜか頷いた。

 え? どういう事?


 「あ、いえ……私は、そのような事は……」

 「ユリーナ。今回はきちんとお話して」


 信じられない言葉がお姉様の口から飛び出した。


 「証人もいる」


 証人?


 「証人って、どなたがそんな事を」

 「彼です」


 彼とはマイステリー様の事だった。


 「うそ、どうして……」

 「ユリーナどうして、そんな事をしたのよ」


 お姉様? 嘘よね? 私が蹴ったと本気で思っているの?


 「待って下さい。僕は、悲鳴が聞こえて行ったらビールドリィ嬢が倒れていたと言っただけすよね?」

 「いいえ。先ほどあなたは、はっきりと言いましたよ。ユリーナさんがルミージュさんを蹴って走り去ったと」


 学園長の言葉に、先生はそうだと頷く。そうすると、マイステリー様は黙り込んだ。


 「無理して登校しましたが、痛みで彼女は保健室でお休みになっております。謝罪の気持ちがあるのなら一緒に謝りに行きましょう。その前に、どうしてそうなったのか、自分の口から話して頂けませんか?」


 そんなの知らないから話せるわけがない!

 もしかして、これって魔法なの? みんなを操っているの?

 私を操るのではなかったのね?


 「さあ、言いなさい」

 「ユリーナ。きちんと説明するのよ」

 「……蹴ってないわ」


 学園長とお姉様の言葉に俯いて答えた。


 「では、猫を発見した場所には昨日は行っていないと言うのだな?」


 そう聞いて来たのは、リゾール殿下。


 「そ、そこには行きました」

 「だったらルミージュさんと会っておりますよね?」


 先生の言葉に私は頷いた。会った事は会ったのですから。


 「でも、蹴ってはいないと?」


 学園長の言葉にもう一度そうですと頷くと、険しい顔つきになった。


 「どうしても認めませんか。一度は、認めたというのに」

 「一度は認めた?」

 「昨日、私に話したでしょう?」


 またもや信じられないお姉様の言葉だった。

 ルミージュ嬢の言っていた、私を葬るとはこうやって私を追い詰める事だったのね。どうしたらいいの!?

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