第18話

 家に戻ってからは、お父様とお母様に叱られた後にお姉様にも叱られました。


 「あなたはもう。何をやっているのかしら? 全て先生から聞いたわよ」

 「ごめんなさい」

 「やっぱり、三角関係になっていたのね」

 「え!」

 「わかってる? 二人が好きで婚約していないとしても、横から奪えば避難されるのはあなたよ」

 「……はい」


 もう私には、救えないわね。

 これも私が嘘をついたからよね……。


 「あなたに魔法の力があれば、まだ望みはあったかも知れないけど、諦めなさい。後を継がせる為に魔法を扱える彼女を婚約者に選んだのよ。彼があなたを選んだとしても認めてもらえないわ」

 「え……」


 そう言えばそう言っていたわね。それでルミージュ嬢を選んだって。そうよ。別に婚約者になってって言われたわけじゃないわ。


 「お姉さま。大事なお話があります」


 私は、カーリア様から聞いた池の事を話す事にしました。


 「実は先日、カーリア様にお会いしました」

 「え? カーリア様にですか?」


 突然何の話だとお姉さまは、不思議そうな顔をする。


 「この学園の事を話されました。それは、マイステリー様の話です」

 「彼の?」


 私は頷く。


 「本当は、封印という魔法を扱えるらしいのですが、小さな時に色々あって魔法が使えなくなっていると、カーリア様に言われました」

 「マイステリー様が魔法を扱えるですって? あなたはそれを確かめようとしたの?」

 「はい。それを聞いて一緒にやってみようと思ったのです。ですが、反応はありませんでした」

 「カーリア様の勘違いって事かしら?」


 私は、首を横に振る。


 「私はあると思います。そして、カーリア様はこうも言われたのです。マイステリー様の心を開いてほしいと。でも私がやったのは、逆の事でした。彼を傷つけた。婚約者のルミージュ嬢も傷つけてしまいました。そして、お姉様達にも多大なるご迷惑をおかけしてしまいました。ごめんなさい」

 「封印ですか。それを目覚めさせて、弟をちゃんとした後継ぎにしたいと言う事でしょうか?」

 「いえ。この学園の池を封印してほしいみたいです」

 「池? そう言えば……」


 お姉様が、ハッとした。何か思い当たる事があるみたい。


 「そう言えば? まだ何か言い伝えがあったのですか?」

 「違います。カーリア様が一度、池にリゾール様を呼び出した事がありまして……。私は、彼女を責めたのです。もしかしたら何かを伝えたかったのかもしれませんね」


 そうでしたか。自分で伝えようと試みたが、上手く伝える事ができなかった。弟のマイステリー様が元から魔法を扱えるとなっていれば、直接マイステリー様に頼んでいたかもしれない。


 あれ? もしかして、頼んでいたかも? リゾール殿下に言いに行ったぐらいなのですからそうしているのかも。でも、拒んだ。自身の魔法の事が明るみに出るから。

 きっとマイステリー様が、両親にも言うなとか言ったのかもしれないわ。でも今の私には、それすらもう確認をしに行ける立場ではないわ。

 だったら――。


 「お姉さま。池のお話をリゾール殿下にして頂けませんか? あの池には魔力が溜まっていて、そのうち暴発するのです。この国が滅びます!」

 「滅びるって……そんな大袈裟な。カーリア様が大袈裟に言っただけよ」


 私は、首を振る。


 「カーリア様は、滅びるとは言ってません。私が、そう感じたのです。夢に見たというか……」

 「わかったわ。話してみましょう。そして、リゾール様からマイステリー様にお話ししていただくわ。それで、いいかしら?」

 「はい。お願いします」


 私は、頭を下げた。

 これでいい。マイステリー様との約束を破る事になったとしても。

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