第17話
どうしましょう。授業をサボってしまいましたわ。
もう私ではどうする事もできないわ。
きっと今日の噂はお姉様の耳にも入るでしょう。そうしたら色々聞かれるわね。
そうね、話しましょう。全部。そうして、説得してもらうのよ。
マイステリー様の婚約者になれなくても、そうすれば国を救えるわ。
心を開く事が私でなくても出来るかもしれない。
気づけば、立入禁止になった池に来ていた。それを見つめそう心に決める。
最初からそうしていたらよかったのかもしれない。欲を出してしまった。マイステリー様が私に好意を抱いているかもしれないと思って。
「そんなところで何やっているの?」
「え?」
この声は――マイステリー様!
「どうして、ここに……」
「君を探していた」
「な、なぜ? あ、お姉様の事? ちゃんと私が悪いって言っておくわ」
「そうじゃないよ。結局こうなってごめんね」
「え? どういう意味? こうなったのは、私のせいよね?」
マイステリー様は、首を横に振った。
「この噂を流したのは、ビールドリィ嬢なんだ」
「え!?」
「君が出て行くのを見ていて、詰め寄って来た。猫の事もあったから僕達を見張っていたみたいなんだ。こうやって会っていたのかって言われたから違うっていったんだけど、先生に聞きに行ったみたいなんだ」
「ごめんなさい。私が全部悪いの。あなたのお姉さんも関係ない。私がただ、あなと一緒に居たかっただけ。授業という事になれば、お姉様も何も言わないと思って……。だからってルミージュ嬢を語って言いわけないわよね。私がわかったって言ったら変だから……って、ただの言いわけね」
あ、嫌だ。涙が出て来た。
「気にしないで。これは、自分の行為がバカらしくて悔しいからなの……」
「……僕と一緒にいたかったの?」
「え? あ、ご、ごめんなさい。婚約者がいるのに……」
「そんな事、聞いていない! 一緒に居たかったのかって聞いたの!」
真剣な顔つきだったので、自然とそうだと頷いていた。
「そ、それって……」
「二人共! 授業をサボって何をしていますか!」
先生だ! いなくなった私達を探しに来たんだわ!
「ユリーナさん、あなたルミージュさんに聞いたと、私に嘘をついたというのは本当なのかしら?」
「え……はい」
「なぜ、そんな嘘を」
「ごめんなさい!」
「しかもここは、立入禁止ですよ?」
「はい。すみません」
「あなたのお姉さんは優秀なのに……」
「彼女のお姉さんは、関係なくないですか? なぜ引き合いに出すんですか!」
え? マイステリー様?
先生も驚いてマイステリー様を見つめていた。
「そ、そうね。でも迷惑は掛かっているわよ」
「はい……」
嘘はいけないとカーリア様も言っていたのに、私ってバカだなぁ。
なのに、マイステリー様が探しに来てくれた事を嬉しく思う私は、重症なのかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます