第15話
はぁ……。昨日は、興奮して眠れなかったわ。
奪っていいと言われても……難しいわよね。好きになってもらわなくてはいけない。カーリア様が言っていた通り、マイステリー様が私に好意を抱いていればいいけど。
できれば、ルミージュ嬢も傷つけたくない。と都合がいい事ばかりを考えている。
まあ、マイステリー様を見つめているだけで精一杯なんですけれど……。
よく考えれば、お姉様に近づくなって言われていると言っていたわね。マイステリー様に近づけば、またお姉様に何か言われるかもしれない。
ど、どうすればいいのかしら?
「ユリーナさん。ちょっといいかしら? この前の魔力の事なのですが」
あ、そう言えばそんな話があったわね。そうだ!
「あの、先生。大切なお話があります」
ごめんなさい。マイステリー様。
「マイステリー様も私と同じようにロッドに魔力があったようですと、ルミージュ嬢が言っていたのを聞いたのですが、マイステリー様も一緒にいいでしょうか?」
「あら? そうなの? では、そうしましょう」
「はい!」
やったわ! でも、マイステリー様は怒るかもしれないわね。
□
「では、二人共水晶の上に手を置いて」
チラッとさっきからマイステリー様が私を見ている。怒っているのかもしれないわ。嫌われたらどうしましょう。
でもこうやって一緒にいるだけで嬉しいなんて……。恋って不思議ね。
「おかしいわね。二人共反応がないわ」
まあ私はあれだとして、マイステリー様はそうしているのだと思いますけどね。
「少し休憩してからやりましょうか。緊張しているのかもしれないわね」
「はい」
「私は少し、席を外すわね」
「はい……」
って、二人っきり!?
チラッとマイステリー様を見ると、憮然としている! あぁかなり怒っているわ。どうしましょう。
「ビールドリィ嬢が、僕の事を気がついたって聞いたけど嘘だよね? どういうつもり?」
「え……」
ですよね、バレますよね……。
「その、ごめんなさい。一緒にやりたくて……」
「……昨日、カーリア姉さんと一緒に居たよね?」
見られていたのね。
俯いていた顔を上げると、マイステリー様はジッと怖い顔で私を見つめていた。
「何を言われたの? 僕に魔法を使えるって言うように言われた?」
「……そ、それは」
かなりまずい状況だわ。信用がなくなったら心を開かせるところではなくなる。というか、嫌われた?
「もしかして、カーリア姉さんに言ったの? 僕が君にヒールを使った事」
「え? それは言ってない! 本当よ。ほ、本当なの……」
なぜ、こうなるの。
未来を変えるなんてただの口実で、マイステリー様とお話がしたかった。そんな、やましい気持ちが見透かされたのかもしれない。
「ごめんなさい……」
どうしていいかわからず、私は走ってその場を後にした。
これからどうしたらいいのでしょうか?
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