第13話

 「え? なぜ私を知っているの?」

 「とても弱い運命だけど、ミャを通じて強くなるのが見えたの。だから待っていたわ」


 どういう意味かしら?

 ここは学園だから、私に会いに来たって事よね。マイステリー様から話を聞いたとしても、私には会った事がないのに、どうして私だとわかったのかしらね。


 「歩きながらでいいので、少しお話いいかしら?」

 「はい……」

 「私達を助けて欲しいの」

 「助けてですか?」


 カーリア様は頷いた。


 「実は、マイステリーは魔法を使えるのよ」

 「え!?」


 カーリア様はご存知だったの?

 では家族は知っているのね。世間的に使えないという事にしているのかしら。


 「使えないフリをしているの」

 「なぜですか?」

 「私のせいなの」

 「え?」

 「私も幼かったのね。だから酷い事してしまったのよ……」


 カーリア様は、驚くような話を始めたのです。


 カーリア様は、何に置いても優秀で、何でもこなせて魔法も扱えて。でも、弟が出来た。この前までは、自分を跡取りだと言っていた父親が、マイステリー様を跡取りにすると言い出したと言う。

 なぜか父親を取られた気分になった。

 一生懸命頑張って、いつも一番になった。父親に認めて貰う為に。そんなカーリア様をマイステリー様は、慕ってくれていた。


 そんなある日、マイステリー様と二人っきりの時にカーリア様が怪我をすると、マイステリー様がヒールで怪我を治した。

 自分には扱えないヒールを持っている! 魔法では一番ではなくなる! そう思ったカーリア様は、つい言ってしまったのです。


 「ヒールは使ってはダメよ。呪いの魔法だから。絶対に他人には言ってはダメ。二人だけの秘密よ」


 素直に信じたマイステリー様は、魔法の事を誰にも言わずにいた。そして、大きくなって、色々わかるようになっても誰にも言わなかった。

 だからカーリア様は、マイステリー様に謝ったのです。


 「気づいているかもしれないけど、私はあなたに嘘をついたわ。ヒールは、呪いの魔法ではないの。ごめんなさい」

 「うん。知っていたよ。特別な力だよね。僕は、別に一番じゃなくていいから。後継ぎにならなくてもいいんだ。だから気にしないで」


 全部わかっていたのです。いつ気がついたかわからないけど、知っていた。

 そして、その頃から恐ろしい未来が見える様になる。回避できない未来。そう諦めていた――。


 「私には、予知もあるのです。ですがあっても回避できません。それが、マイステリーが入学したとたん、見えたのです。違う未来がうっすらと危うい感じですが」


 あれ? 今の話からするとカーリア様はヒールを使えない? しかも予知持ち? あ、予知持ちなら救えたわね。でもなぜに、カーリア様ではなくマイステリー様がヒールの魔法を持っているのでしょうか。


 「それがミャ? 猫ですか?」

 「いいえ。あなたです。ユリーナさん」


 え~!! 私ですって!! いや、おかしいわよ。

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