第12話
あれから数日、平穏で退屈な日々。そして、彼を目で追う日々が続いた。
情けないけどこの感情は、どうしようも出来ないみたい。
そして毎日、ミャとの思い出の場所へ寄ってから帰っている。
おかしいな。ヒロイン役をやるはずだったのに。魔法を使えるならリゾール殿下の婚約者にならないと行けないのに、そんな気持ちが起きない。それに、お姉様を悪役令嬢にしたくない。
「ユリーナ……」
「え?」
マイステリー様。なぜここに……。
「みゃ~」
「ミャ? わぁ、久しぶり」
「お願いがあるんだ。この子預かってくれないか?」
これってイベントだわ。でも王族ではない彼には関係ないイベント。王族からの贈り物にならないからね。
「あれ? これって……」
私が捨てたリボン!?
「落ちていたのを拾ったんだ」
「どうして……」
どうしてそういう事するのよ! 勘違いしちゃうじゃない!
「ごめん。君のお姉さんに、近づくなって言われていて……」
「え!? お姉様に!」
「俺のせいで、君が悪者扱いされるからって。でもリボンを見つけたら諦められなくなって……」
「え?」
もしかして、マイステリー様も私の事を――。
「でもカーリア姉さんに、リボンが見つかっちゃって。ビールドリィ嬢に見つかる前に、君に渡すといいって言われたからさ」
お姉さんの言いつけ? そうだよね。私、何勘違いしてるんだろう。
「受け取ってくれる?」
「うん。責任を取って育てるわ!」
「ありがとう」
「さぁ、ミャ行きましょうね」
イベントでは、この子を受け取った事で、もっとお姉様の嫌がらせがエスカレート。そして、とうとう見かねたリゾール殿下は、ストレートにお姉様にやめるように言うと、大喧嘩になる。
それから二人は、すれ違って行く。責任を感じたヒロインは、一度は身を引くもリゾール殿下がお姉様と婚約破棄をして、ヒロインにプロポーズ。
よく考えると、酷い話よね。
嫌がらせをしたお姉様も悪いけど、リゾール殿下がお姉様という婚約者がいながらヒロインを特別扱いしたのだから。嫉妬もするでしょう。しかも、乗り換えるなんて!
っは! 嫌だわ。ゲームの話なのに。ヒロインが居ない事で、二人は愛し合ったまま。
できれば、二人はこのまま幸せになってほしい。私を心配してくれたお姉様を裏切れないわ。
大丈夫。心の支えが出来た。
「ミャ、力を貸して」
私は、話し相手が出来たのだもの。一方的に話すだけだけど、気持ちが落ち着いたわ。力が沸いた。
探しましょう! 救う方法を!
「ユリーナさん」
「え!?」
リゾール殿下に声を掛けられるより驚いた。振り向いたらヒロインのカーリア様がいらっしゃったのです!
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