第10話
驚いたわ。噂になっているかと思ったけど、池に落ちた事は知られてないみたい。
「なぜ、池は立ち入り禁止になったのかしら?」
「柵をするらしいわよ」
「え? 今更ですか?」
そういう会話が聞こえて来た。
もしかしたらリゾール殿下が、うまく処理してくれたのかもしれないわ。
迷惑をかけてしまったわ……。
「体調はまだすぐれませんの? でしたらもう一日休んで宜しかったのに」
にっこりとして話しかけて来たのは、ルミージュ嬢でした。
「私はもう大丈夫です。あなたは大丈夫でしたか?」
「えぇ。マイステリー様が心配して一晩中、私の側にいてくれて。あなたが入る隙間などないわ」
そうよね。マイステリー様も声を掛けてこないし。それどころか、二人仲良く並んで歩いている。仲直りしたのね……。
□
やっぱりミャは、ここにいないか。マイステリー様のご自宅で飼う事になったのですものね。
こっそりとルミージュ嬢が作ったリボンの下に、自分のリボンを結んでおこうと思ったけど、バカみたいな考えだったわ。何になるのかしらそんな事して。
サーっと優しい風が吹いた。手を離すとリボンがひらひらと舞って行く。
さあ、切り替えましょう。この国を救う方法を!
まずは、バットエンドの最後を思い出さないとなぁ。全制覇の為にバットエンドをやった様なものだったからちゃんと最後の内容を覚えていないのよねぇ。
あ、そうだ! 確か爆発が起きて……え! もしかして戦争!?
これは大変だわ。私がリゾール殿下を奪ってももし結果が同じだったら? だって私は、本当のヒロインではないんですもの!
かと言って、戦争が起きますといったところで、信じてはもらえないでしょうね。その前兆があればいいけど、なければ直前までわからない。
ヒロインとお姉様の違いは……魔法だわ。
だったら私がなってもダメ。魔法を扱える人がヒロインにならないと!
いや無理ね。だったら魔法を覚えるしかないのかしら?
うーん。生まれつき使えない者が間接的に使う為には、ロッドが必要だったわね。それにさえ、素質が必要ですけど。
大丈夫。授業で習うわ。
お姉様は素質はなかったけど、私に素質があれば希望がまだあるわ!
なかった場合は……頭がおかしいとおもわれても、お姉様に相談しましょう!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます