第19話 18、乙女の望み
<< 18、乙女の望み >>
大鈴井乙女は30分ほどで居間に戻ってきた。
こざっぱりとした洋服に着替え、化粧もしていた。
洗髪もしたらしい。
「おまちどうさま。素敵なバスルームだったわ。バスルームからの眺望も最高。あそこからお父様とアン・シャーリーさんは二人で夜景を眺めたのね。ロマンチック。」
「シャワーを浴びてきます。乙女さんは冷蔵庫から好きな飲み物を取り出して飲んでいてください。台所の場所は分かりますよね。」
「おそらく分かるわ。ごゆっくり。」
15分ほどでイスマイルが居間に戻っても大鈴井乙女は居間にいなかった。
「乙女さん、どこにいるんだい。」
イスマイルは少し大きな声を出した。
「ここにいるわ、イスマイルさん。廊下の右側の部屋。」
声の位置は廊下の突き当たりの右側の部屋からで、そこはダブルベッドのある客間だった。
イスマイルが客間に行くと客間はカーテンが閉じられ、隙間から夕方の光が漏れていた。
大鈴井乙女はダブルベッドのシーツと毛布の間に入って首だけを出してイスマイルを見つめていた。
「乙女さん、どうしたんだい。」
「私、イスマイルさんに私の処女をあげたいの。」
「本気かい。」
「本気よ。これが昨日の夕方に言った私のひ、み、つ、なの。」
「驚いたな。今は乙女さんは裸なの。」
「そうよ。恥ずかしいからカーテンを閉じて部屋を暗くしたの。」
見れば壁のテーブルの上には乙女の衣服が畳まれて置かれてあった。
「驚いたけどありがとう。乙女さん、僕はまだ童貞だよ。これまで女性とセックスなんてしたことがない。小さい時には見なかったいやらしい夢を最近は良く見るようになった。そんな夢は年齢とは違って肉体的な生理的なものだって気がついた。僕は乙女さんを犯したくてたまらなかった。ごめんね。でもそうだったんだ。」
「そう、よかったわ。イスマイルさんは知らないかもしれないけど女性も同じような夢を見るの。男性に犯される夢。わたしの場合は大学生になった頃からかしら。でも女性は慎(つつ)ましいからそんなことは言わないの。」
「乙女さんを犯すけどいいかい。」
「いいわ。私はそうしたいの。」
「ありがとう。服を脱ぎたいんだがちょっと横を向いていてくれないか。少し恥ずかしいんだ。僕もすぐさま毛布の中に潜り込むから。」
「ドキドキしながら待ってるわ。」
そう言って乙女は首を反対側に向けた。
イスマイルは大急ぎで衣服を脱ぎ捨て、ダブルベッドの毛布を少し上げて乙女の横に横向きで潜り込み、毛布をしっかりと首まで引き上げた。
もちろん、毛布を上げた時には大鈴井乙女の白い肢体が垣間見えたし、乳房の膨らみも見えた。
毛布にもぐると大鈴井乙女の体温も感じた。
「毛布に入ったよ。こちらを向いてもいい。触っていいかい。」
「いいわ。」
大鈴井乙女は仰向けになって両手を下げて目を閉じていた。
詳細省略
イスマイルは腰を動かした。
乙女の膣の締め付けが良かったのかイスマイルはすぐさま果ててしまった。
「これも素敵ね。イスマイルさんが体の中に広がってゆく。抵抗できないわ。イスマイルさんが次々と私を打ち倒している。私の体はイスマイルさんのものよ。素敵。」
「これで良かったのかい。」
「分からない。でも素敵だった。セックスがこんなに素敵なものだとは知らなかったわ。私は満足よ。」
「僕もよかった。」
この時には二人から毛布が落ちており、お互いに相手の裸を見ることが出来ていた。
だが、二人にはもはや裸を恥ずかしがる気持ちは無くなっていた。
詳細省略
「乙女さん、提案があるんだが。」
「なあに。」
「このままシーツを外してバスルームに行かないか。バスにお湯をはって二人で入ろう。乙女さんを洗いたい。」
「セックスとは違って明るいから少し恥ずかしいけどいいわ。私はイスマイルさんのものだから。いかようにも。」
「その後、シーツを張り替えてもう一度セックスしないかい。今度は落ち着いて楽しめそうだ。」
「それは大賛成よ。ワクワクする。」
二人はバスのお湯が満ちるのを待っている間、シャワーでお互いの体を洗いあった。
イスマイルは乙女の白く引き締まったくびれた細胴を持つ肢体に興奮した。
詳細省略
乙女はそれを3回も繰り返した。
二人がバスタブに入った頃にはバスルームから見える空は夕焼けから紺色の空になりかかっていた。
イスマイルは乙女を後ろ向きにして抱き、両手で乙女の乳房を掴んで愛撫した。
乙女は夢見ごこちでなされるままに身を委(ゆだ)ね夕闇の空を眺めていた。
二人はバスルームを出ると客室のダブルベッドに新しいシーツを敷き、落ち着いてセックスを開始した。
二人は童貞と処女ではなくもう経験者になっていた。
二度目のセックスは最初のものよりずっと良かったのかもしれなかった。
イスマイルは乙女の体をゆっくり愛撫して乙女の反射的反応を楽しんだし、乙女は乙女で何度も絶頂らしいものを経験した。
セックスが終わると今度はイスマイルが客室の床に脱ぎ捨ててあった衣服を持ってバスルーム行き簡単にシャワーを浴びてから衣服を着て客間に戻ってきた。
乙女はベッドの上で毛布をかけて経験を咀嚼していた。
「おまたせ、シャワーを使って。僕は居間で待ってる。」
そう言ってイスマイルは居間に行った。
乙女はベッドから出て机の上に畳んであった衣服を持ってバスルームに行った。
セックスの時の裸とそうでない時の裸は恥ずかしさが違う。
大鈴井乙女はバスルームから30分も出てこなかった。
バスルームを洗って、髪の毛を乾かし、化粧をしなければならなかったのかもしれなかった。
イスマイルは乙女のためにコーヒーを淹れて待っていた。
「お待ちどうさま。」
そう言って乙女は長い黒髪を首の後ろに手を回して持ち上げながら居間に入ってきた。
「コーヒーをいれておいたよ、乙女さん。」
「ありがとう。」
「飲んだら夕食に行こうか。お腹が空いただろ。昼から全然食べてないから。」
「それでもいいけど、私はここで食べたいわ。なにかレトルト食品はある。」
「冷凍庫にはいっぱい入っている。」
「カレーとご飯はある。」
「あると思う。」
「そしたら、夜景を見ながら二人でカレーライスを食べましょう。そのあとは自動車で私のマンションまで送ってって。私、家に帰ってから自分の顔をじっくり見て見たいの。自分の人生での大きな経験をした後の顔を見ておきたいの。食堂で食事をしないで帰りたいの。」
「了解、そうしよう。乙女さんはカレーライスが好きなんだね。最初に学食で出会った時もカレーライスだった。」
「ありがとう、覚えていてくれたのね。」
「初めて乙女さんと友達になった時だからね。」
少しだけ時間がかかったが、二人は電子レンジで食材を温め、容器に移してから居間の低いテーブルに置き、ソファに並んで座って夜景を見ながらカレーライスの容器を持ち上げてカレーライスを食べた。
カレーライスはそこそこの味だった。
カレーライスを食べ終わると大鈴井乙女は食器を洗おうと立ち上がったがスマイルは言った。
「そのままでいいよ。後で洗っておく。」
「ありがとう。お願いね。」
「それよりもう一度乙女さんを抱きたい。僕の膝の上に座ってくれないか。部屋を暗くする。一緒に夜景を眺めよう。」
そう言ってイスマイルはテーブルの上にあったリモコンで部屋の明かりを完全に消した。
居間は奥の開いた扉から漏れる光になった。
大鈴井乙女はだまってイスマイルの膝に腰掛けて窓の外を見た。
外の夜景がはっきりと強くなった。
乙女は右手をイスマイルの肩に回して左手はイスマイルの膝に乗せた。
イスマイルは左手を乙女の細い胴に回し、右手は無防備になっていた乙女の乳房の脹らみを掴んだ。
5分ほど経つと乙女は言った。
「これもいいわね。ずっとこのままがいいけどそうもいかないわ。送って。イスマイルさん。」
「了解。」
イスマイルはそういって乙女を膝から降ろし、部屋の明かりを明るくした。
二人は玄関を出てエレベーターで地下駐車場に行った。
大鈴井乙女のマンションはイスマイルのマンションからはそれほど遠い距離ではなかった。
どちらも理学部からは遠くなかった。
「今日は楽しかった。月曜日の明日の昼も教習所に行こう。」
イスマイルは乙女に言った。
「私も楽しかった。明日も学食で待っているわ。」
「了解。」
イスマイルは自宅のマンションに戻り、居間のソファに深々と腰掛けて夜景をぼんやり眺めながら大鈴井乙女との情事を思い出していた。
その夜、イスマイルはいつものベッドではなく客間のダブルベッドで大鈴井乙女の髪の香りに包まれて眠った。
イスマイルのマンションの図。
カクヨムでは表示できません。申し訳ありません。「みてみん」で「藤山千本」を検索して下さい。
表題は「イスマイルと乙女のマンション」でコードは以下です。
https://27752.mitemin.net/i436940/
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます