第4話 百鬼夜行!ロッジの夜の夢1

「さっぱりしたので~す」


ジャパリパークの夕方、

水浴びで体の汚れを落としたパフィンは改めてロッジに入る。

ここのロッジいつ見てもきれいに掃除されてんなぁ、


「ロッジアリツカ」しんりんちほーにあるフレンズ専用の宿、兼巣。

木の上に建てられたこのロッジは年季の入った外見とは裏腹にとても綺麗な内装をしている。

そして、このロッジを管理しているのが「アリツカゲラ」。

内装がきれいに保たれているのは住居へのこだわりが強い彼女のおかげだ。


「やぁ皆さん、よく来てくれました」

「ん、なんか事情がありそうな顔してますね」


「そうだよアリツさん、実は頼みがあるんだ....」


――――――――フレンズ説明中―――――――――


「なるほど...空いてる部屋...ですか」


「何部屋かあったよね?私の執筆部屋くらいのサイズのさぁ」


「あるにはありますけど....とりあえず見てみますか?二人とも」


「頼むで~す」「おねがいします」


一応空き部屋はあるらしい、アリツカゲラさんの表情が微妙だったのは気になるけど

とにかく見てみないと始まらない。広くて雨風のしのげる部屋がいいなぁ、湿気も少ない部屋ね。大事な拠点選び、慎重に選ばなきゃ。


さっそく一つ目の部屋に着いた。

ドアは木製、誰も使っていないかのようにぴかぴかだ。


「まずはこちら、お部屋”どったんばったん”です」


扉を開けるとかなり広い空間が広がっていた、

これにはパフィンちゃんもにっこりだ。


「何もない部屋に見えますよね?」


「「うん」」


「ここ、出るんですよお化けが」

「「お化け!?」」


この部屋はお化けが出没する訳あり物件だった。

なんでも、夜中になると石が降ったり家具が跳ねまわったりするらしい。

もし寝ているときに家具が跳ねだしたら大ケガ間違いなさそうだ。


それを聞いたエトピリカは


「それ本当にお化けのせいなのかな?」

と言った。


お化け部屋なのに全く霊の類の気配がしなかったからだ。


重いベッドが跳ねまわるレベルの怪奇現象だ。霊や妖怪の気配が無いのはおかしい。


「でも実際に見たんですよ。セルリアンなら匂いが残るはずだし...間違いなくあれはお化けの仕業ですよ」


「なるほど...」

引っかかることは色々あったけど深は考えないことにした。


「じゃあ、この部屋はこれくらいにして次行きましょう」

三人はアリツカゲラさんについていく。


もしかして、次の物件も怪奇現象が起きるのかな?

心霊スポットは好きだけど住処にしたいとは思わないなぁ...

なんて考えていると次の部屋にたどり着いた。


「こちら、お部屋”おおぞら”です」


部屋に入った瞬間すぐに異常に気付いた。

この音は...風?部屋なのに?


「前よりひどくなってないか、部屋と言っていいのかどうか....」

「パフィンちゃん、上見てみなよ」

「え?上?」


上を見上げるとそこには綺麗な青空が広がっていた。

部屋をよく見ると床に穴が開いていたり壁にドングリが刺さっている。


どちらかというと廃墟って感じがする。

この部屋はダメでしょ、どう考えても。次行こう!次!


というわけで次のお部屋”さるゆめ”

特に何か問題がありそうには見えない。普通の部屋だ。


「ここもヤバいですよ、”にぎやか”よりも危険かもしれないです」

「前に私が使っていた作業部屋だね。ここは辞めといたほうがいいよ」


オオカミ氏まで...怪奇現象関係だとは思うけど

そこまで言われると気になってしまう


「で、この部屋はどんな怪奇現象があるんですか?」

興味津々な顔でパフィンが聞く。


「この部屋で寝るとね、ある夢を見るんだよ」


そう言うと、タイリクオオカミは昔体験した出来事を話し始めた。


―――――――――回想(タイリクオオカミ)↓――――――――――

私が同人誌を描き始めて少しの頃だったよ。

当時私はこの部屋を作業部屋として使わせてもらってたんだ。


その日私は徹夜で漫画を描いていた。

漫画の発表日に間に合わせようとペンを走らせていたわけなんだけど、途中で眠くなって寝ちゃったんだ。


そして、夢を見た。匂いや音、手足の感覚、意識まで妙に現実味がある夢だった。

夢の中で私は、細長い箱のような部屋に座っていた。

部屋にはいくつかドアがあって、左右から外に出られる構造になっていた。

部屋には私以外のフレンズもいた。


『ガタン!ガタン!ガタン!』

しばらくしたら部屋の窓が突然閉まったんだ。

すると、声が聞こえてきた。


『まもなく~ほっこり~ほっこり~』


ほっこり?ギンギツネの発明品かな?

そう思っていると後方の席からけたたましい悲鳴が聞こえてきた。

振り返って見ると鳥のフレンズが炎に包まれている。


「ぼっごりいいいいい!いいいいいい!」


『まもなく~さいころ~さいころ~』


今度は私の後ろに座るフレンズがサイコロ状に切り刻まれてしまった。

かなり恐怖を感じたよ、順番から行くと次は私の番だったしね。


夢から覚めようと思ったけど、自分がどんな目に遭うのか気になって、それを確認してから逃げようと思った。


「まもなく~ひきにく~ひきにく~」


最悪だ、

(夢から覚めろ!夢から覚めろ!)

必死に唱えたら夢から抜け出すことができた。


それからというもの、この部屋で寝た時には必ず悪夢を見るようになった。

もちろん部屋は使用禁止になったよ。まぁ、そうなるよね。


―――――――――回想(タイリクオオカミ)↑――――――――――

「夢の中で死ぬ...ねぇ...怖すぎで~す」

もしかして他の部屋もこんな感じなのかな...良い部屋空いてるといいなぁ...


アリツカゲラのお部屋紹介はまだ続く....



【次回予告】

ロッジの管理人アリツカゲラに部屋を紹介してもらうパフィン一行

しかし、紹介される部屋はどれも個性的だった....

果たして、パフィンは理想の秘密基地を見つけることはできるのだろうか

次回、百鬼夜行!ロッジの夜の夢2

これは夢なのか現実なのか...

熱いパークの夜加熱した欲望は、ついに危険な領域へと突入する...














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