第4話この卵君のだったんだ、許して?
あの後、何とかオークからは逃げ出すことに成功した。
手に握っていたダガーで何度も何度も手首を刺して、掴む力がなくなった瞬間に全力で逃げた。もう二度と、オークには近づかない。死の恐怖とは違う、べつの恐怖がトラウマになった。
「武器屋のおやっさん、なにか戦う以外のおすすめの依頼ってないかなぁ」
「あぁ~そうだなぁ、そういえばこないだ珍しく採取依頼があった気がするが」
「採取依頼って、なにか取ってくるだけってこと?」
「あぁ、そう思ってくれて間違いねぇよ、今から国に依頼書まだないか確認言ったらどうだ?」
「だね、そうするよ」
武器屋のおじさんに採取依頼の話を聞いた俺は早速国にそのことを聞くと、丁度一つだけ採取依頼があった。
少し離れた洞窟にある卵を取ってきてほしい。依頼書に書いてあるのはそれだけだった。国にこの卵は何御卵なのか聞くと、国も分かっていないらしい。
とりあえず、その洞窟へ向かう途中で死なないため装備を整えよう。こんな私服で向かったら、途中普通のモンスターに殺されてしまいそうだ。
スライムに腹パンされ、ゴブリンにナイフで追いかけられ、何とか洞窟の前についた。
この依頼書の卵、なんの卵なんだろう、やたら大きいけど。武器屋の親父さんに聞いても、わからないっていうしなぁ。
暗い洞窟を進んでいく。灯のない道を進んでいると、ゴブリンとの記憶が蘇り鳥肌が立った。いない......よな?
「かなり進んだんだけど、この洞窟やたらと深い。ちょっとくたびれてきた」
それから数時間、歩き続けてようやく巨大卵の芽絵の前までやってくることができた。
「まさか、道が何個にも分かれて転園の迷路になってるなんて、そんなの聞いてないぞ」
それにしても、運動会で使われる大玉くらいの大きさの卵。これ、卵焼きにしたら何日か食費浮くんじゃないか? ......自分で言ってて悲しくなってきた。俺いつからこんな貧乏な考え方になったんだろう。
「早く持っていて、報酬もらってスライム狩りに行こう。お金足りないし」
腰にかけていた鞄からロープをとりだし、卵を落ちないように自分の腰に巻きつけると、上から台風のような強い風が吹いてきた。
「な、なんだ!? 台風か? てかここ、天井空に通じてた......の」
上を向いた俺は、ドラゴンをみた。その生物はどこからどうみてもドラゴンとしか呼べない見た目っをしていて、大きさは高層ビルみたいな大きさだ。まぁ、少し盛ったけど。
ドラゴン、完全に俺と目合ってるよな、もしかしなくてもこの卵ドラゴンの卵? 絶対そうだ俺の後ろをチラチラ見るたびに俺への殺意高まってる気がするもん。
卵を話しても死ぬ、卵を持って走っても死ぬ、そして俺は思いついた、最強の方法を。
俺は腰にたまごを巻き付けたまま腹と顔を地面につき、ゴキブリのように動きはじめた。これなら俺に何かしようにも卵が囮になって攻撃ができないかカンペきな作戦だ。それで町までドラゴンがついてきたら......まぁ他の冒険者がどうにかしてくれだろ。あの街の冒険者
そこまでレベル高くないけどドラゴン一匹くらいならきっと勝ってくれる。
「それにしても、ゴキブリ戦法で歩き数時間の道のりか、辛いな」
だんだん疲れてきて、息が切れ始めると、腰のあたりで何かがブチッとなり、一気に体が軽くなった。どうしたのかと後ろを見ると卵が背中から離れ、来た道の方へ転がり始めてしまった。
「あぁ! 地面に擦りすぎてロープが! こら、まてっ!」
たまごを追いかけて、広いところまで引き返したおれは気がついた。また、上に存在を感じることを
今回は、近くに卵がないことを。
汗や涙を
たらしながら上を見上げると、口に炎を溜めているドラゴンと再び目線があった。
「日本、帰るか」
一瞬感じる全身が火傷した痛みと熱を最後に、おれは意識を失った
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