第4-2頁 悪キノコタンとその女王
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謎の少女に連れられて、到着したのは善キノコタンとは真逆の方角に位置する、悪キノコタン領地だった。
「おぉー、結構広い家だね!」
善キノコタンと対立関係にある悪キノコタンの女王ということで、私は『通りすがりの人間で、キノコタンの戦争には興味が無い』という設定にしておいた。
「ま、こう見えて女王だからな」
ルイスと同じ薄クリーム色のロングヘアに、黒六割赤四割のだいぶ暗めの赤に、白い斑点付きの丸いキノコ帽子。
目も光を持っておらず赤暗い。
服装もルイスと色違いで、全体的に色が暗い。
ルイスの色違いの少女は、私が名前を教えてもらいたいと思っているのを察してくれた。
「あ、私の名前はルイス=キノコタン・ファールクイーン。キノコタンの女王をしている」
ファールクイーンって、この子、絶対にルイスの闇堕ちVer.みたいな感じじゃん!
「あの、ルイスとはどういう関係なの?」
「あ、え?ルイスか…ルイスは分身体…クローンのようなものだ」
やっぱりそういう感じか。
悪ルイス改め、ファールルイスは言葉を続けた。
「お前は誰なんだ?」
ファールルイスは首を傾げて私に聞いた。
「うーん、私は静紅!ただの通りすがりだよ!」
「シズクだな。分かった…それで、今人が足りてなくてな…すまないけどちょっと手伝ってくれないか?」
「はぁ…やっぱりそうなるか。ぐぬぬぬ」
私からすれば敵である善キノコタンの協力はあまりしたくないのだが、ファールルイスから見ての私はただの通りすがり。善キノコタンの関係者という認識はない。
「だめ…か?」
そんな瞳で見ないでよ!
「分かった分かった、いいよ。手伝ってあげる!」
「おぉ、そうか!ありがとう」
私とファールルイスは微笑みながら握手をした。
木で造られた家なのか、内装は木造のものが多い。
窓から外を覗くと、朝日が昇っていた。
私は出来るだけ急いで、家の外へ出た。
家の外は、そこだけ草が生えておらず、一般的な学校の運動場程の広めの土地に、木で造られた家が建ち並んでいる。
それだけだと善キノコタンの領地とほぼ同じなのだが、違うところといえば、悪キノコタンの領地には木で造られた壁や木の丸太を並べたり複雑に組んだ兵器、キノコタン一匹一匹が刀やら金属の装備を付けていたり、
[善キノコタンよりも軍事力や武力が高い]。
「おぉ、そんなに興味あるのか?」
「いや、なんか物騒だなぁって。戦争でもするの?」
今日、善キノコタンVS悪キノコタンの戦争がある事はルイスから聞いているのだが、ここはあえて何も知らないふりをしておく。
「あぁ。今日、太陽が真上に来た時に善キノコタン達との戦争があるんだ。今度こそ決着をつけるために、今回は兵器などを導入した。
こっちもあまり傷つけたくないのだが、勝つためには仕方の無いことだ」
「そっか…」
正論とも言えるファールルイスの言葉に、何も言い返せなくなった私の様子を見たファールルイスは首を傾げた。
「あ、そうだ!手伝うって何したらいいの??」
ファールルイスが口を開くよりも早く私は今回の手伝いの内容について質問した。
「そうだなぁ…あいつらに軍事の事は任せているし…そうだ!兵器の運搬を手伝ってもらおうか」
ここで出たあいつらとは、おそらくキノコタンの事だ。
ファールルイスが指さした方向には、二輪の台に何本もの槍が、巨大な弓に装填された兵器が五台あった。
「この兵器は?」
「この兵器は、古くから伝わる[槍砲台]だ。巨大な弩を台に装着して、弦の所に最大5本まで装填し、発射することが出来る兵器だ!凄いだろ!」
台の上にはある程度のスペースがあり、キノコタン一匹と、槍を立てて保管できる筒のような物が乗せることが出来そうな程。
こんな物騒なもの開発するとか…この世界の軍事力も伊達じゃないな…。
戦争という概念がある以上、兵器や武器も存在すると分かってはいたが、実物を見るのと聞くだけじゃ感じ方が全く違う。
百聞は一見にしかずってやつだ。
「分かった!物運びなら任せてよ!これでも私、超能力者だから」
今日、第6次キノコタン大戦が始まるのであった。
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