第3話 冒険者がどんどん減っていき、なんかマニアックになっている気がするのじゃが
アモスはリンティンと考えながら、
自分たちのダンジョンに名前を付けることとした。マジックキャッスルだといまいちだということがわかったので、
その名前【アモスの大迷宮】という名前にした。
「なにかむかつく」
「なぜじゃ、リンティンよ、つーかおぬし最近しゃべりすぎじゃ」
「わたしもこのダンジョンで仕事している。掃除したり洗濯したり」
「それはつねづね思っとるが」
「でもアモスが主人公だからいいよ、わたしはまた、掃除をしてくる」
「いつもご苦労」
リンティンが爺には心臓に悪いミニスカートをふわりとさせながら、いなくなると、
アモスは現在の【アモスの大迷宮】の挑戦者を確かめるために、
念視をすることとする。
ドッペルゲンガーの分身体を、念視で飛ばすことに、
アモスはその光景を見て絶句していた。
なぜなら挑戦者が全然いなかったこと、
誰もが1階層ですら攻略できずにいるのだ。
なぜか挑戦者こと冒険者たちはこの特殊に改造したスライムを倒すことが出来ない。
アモスとしては、速く最上階まで来て自分を殺してほしい、
アモスは数日前から夢で天国を見るようになっていた。
そこでハッピーで最高な日々が送れるはずであった。
それは誰かがアモスを殺す必要があり、
色々と考えながら、挑戦者たちを見続けていた。
そしてアモスはようやく気付いた。
「ふむ、誰かが導いてあげねば」
アモスは考え始める。
そのころになると冒険者の姿はなくなった。
しかし3名のつばをつけておいたちょっと変わった冒険者を見つけることに成功した。
1人はメイルンという女勇者のようだ。
鉄の防具には星の髪飾りがいまだにかざられており、
右手と左手には2本のレイピアを握りしめている。
メイルンが壁を走ると、スライムが頑丈な体を利用してバウンドタックルしてくる。
それでもメイルンはレイピアで弾く、その時きらりと何かが光って見えた。
次の瞬間、
2人目の魔法使いであるネネーネが飛来、ウサギのお面をつけながらよく器用に走りながら魔法を飛ばしているものだと思った。
3人目はドワーフ、ドースンという名前だった。
彼は必至でアイテムを拾う気まんまんだけど、
ただの囮としてしか使われていない、それもそのはず、1体のスライムも倒せていないのだから。
そして3名は改造スライムにあっけなく倒されてしまい、
どうやら復活ポイントにて蘇っているようだ。
スライムたちがドッペルゲンガーのアモスを見て頭をさげたりしている。
自分の眷属には見られることのできる特殊な分身体であるドッペルゲンガーだということを再認識した。
目の前にはきらりと光り続けている髪飾りが落ちている。
あのメイルンという勇者の持ち物だったはずだ。
なぜだろう、この髪飾りを見ていると無償に悲しくなる。
確か数千年前に、魔王討伐とかそういったありがちなイベントがあって、
まぁいいか、
「もうやることをするだけだ導くのみ」
アモスは決意して、ドッペルゲンガーにさらなる力を付与させ、
ドッペルゲンガーをモンスター化すると、
普通のドッペルゲンガーという化けものになる。
次に特殊な魔力を最上階にいる本体から捧げてもらい、
そしてそこには今の老人賢者の姿ではなくて、
20歳の若かりし頃のアモスが立っていた。
次にやること、
どうせ本体で死ぬ気だったんだから、
こっちで死んでも練習になるよな。
分身体のアモス賢者はにやりと笑うと、
次の瞬間には分身体の心臓に魔法で作ったナイフでくし刺しにした。
遥か昔老人アモスは少年アモスだった。
そのころは普通の魔法使いとして、そして冒険者としてがんばってきた。
勇者と一緒に冒険して、魔王を殺すまではいかないが、ぼこぼこにしてやきをいれたことだってある。
だから今の自分は。
「わしを殺すためにわしは再び冒険者となる」
光が空を満たしたのはその時だった。
おかしいな、あの髪飾りを右手に大事に握りしめていて。
「なぁ、そうだろう、勇者、あいつ、お前の子孫だろ」
もうこの世界には存在しないかつての相棒につぶやいた瞬間だった。
復活ポイントは【アモスの大迷宮】の入り口にセットされている。
そこにはいろいろな色や形をしたベンチがあり、
1つのベンチに人間と精霊族とドワーフという不思議なトリオが元気なく座っている。
そこへアモスは復活ポイントから立ち上がり、
復活ポイントの地面はまるで湯気が噴出しているように、ほんわりとしていた。
周りには全然人っけがおらず。
このダンジョンはどうやらこの3人組が基本的に攻略するようだ。
アモスは、ゆっくりと右足と左足を交互に繰り出した。
目の前に立つと。そのアルビノのような真っ赤な瞳、ドッペルゲンガーになっていた時は見れなかった細かいところ、白い髪の毛ではなくて銀色の髪の毛というのが意外と珍しいものだと思う。
「君もこのダンジョンを攻略するんでしょ、あ、それと、勝手に触って申し訳ないけど、星の髪飾りがさきほどのダンジョンに落ちていたよ」
メイルンはこちらを見るとぱちくりと目をしばたたいてくれると、
ぷるぷると全身を震わせて、
わんわんと泣き出した。
「ありがとうございます。とてつもなく、とってつのなく、とーーーーてつもなーくありがとうです。それは代々勇者が引き継ぐものでして」
「いいってことよ、それで君達のバトルを見ていたら、指導したくて、わしの指導をちゃんと聞けば、ここのダンジョンを攻略することができるよ。このダンジョンはほぼレベル関係ないから」
「それって本当ですか?」
「うん、まじもん」
「じゃあ、パーティーに入ってくれますか?」
「ああ、もちろんさ」
アモスはこくりと頷くと、パーティーに入ることとなった。
パーティーとは一緒に冒険をするメンバーのことで、
お互いを認め合うと頭の中にその職業が現れる、お互いの職業を知るということがパーティーを認めるということなのだ。
あと名前とか年齢がわかる。
このドッペルゲンガーを進化させた肉体は20歳でとめてあるので、
おそらく問題はないだろう。
4人全員がお互いのことを目線で認識する。
ネネーネとドースンとは一言も話をしていない、
だがお互いが認めあった瞬間、
彼らの職業とかがわかり、年齢もわかってくる。
チート級の鑑定スキルですでに知ってはいる。
風が一陣吹いた次の瞬間、女勇者メイルン、魔法使いネネーネ、運び屋ドースンは、3人とも全員が腰から後ろにこけた。
アモスはよくわからない表情を浮かべながら、とりあえず自分も腰から倒れてみた。
「いやいやいやいや、驚いているのはわたくしです。わたくしが勇者ってところにも驚かないあなたもすごいけど、この世界で数人しかいないといわれている賢者職業をしかも20歳で極めたって、マスターマークがあるから、極めたんでしょうね、こ、これは、このダンジョンを攻略できるのでは?」
アモスは頭をぽりぽりとかきながら。
「いろいろあってすべての力を使えないから、あまり期待しないで、基本は指導だから」
「な、なるほどです。賢者とはすごいですね」
ネネーネがいきなり声をあげる。
「沢山の魔法を教えてください、うちは魔法使いなんです」
「びしばしいくよ」
「わし関係なくね?」
「君には何かできるはずだから考えとく」
「それは助かるのう、ではあらかた自己紹介も終えたことじゃし、スライムをぶっ倒そうかい」
「やってみよーう」
なんだろうアモスは既視感を感じていた
遥か昔もこうやって冒険していた気がする。
勇者の記憶、
勇者の性格が、
なぜか、なぜかめの前のメイルンにだぶってしまうのだ。
「うむ、いくぞ」
アモスはただただ呟いていた。
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