第2話 マジックキャッスルダンジョン

 アモス・ディス・ロンパの一日は一杯のコーヒーから始まる。

 鬼族のメイド長のリンティン、

 今日も下着が見えるぎりぎりのミニスカートをはいている。

 彼女は下ネタにすごく弱すぎなので、彼女が料理を作っているのを後ろで見ながら、

 ふむと彼女のミニスカートの中身を想像する。


 トーストを食べ終わると、このマジックキャッスルをダンジョン登録するのに手間取ったことを思い出していた。


 アモスは基本的にこの城から出たくない、

 なのでリンティンに頼むと、

 リンティンは快く受け入れてくれた。


 ただし彼女の見た目は絶世の美女に近いので、

 始まりの街で舐められることが心配ではない、

 それはいいのだが、あまりいやらしいこととかをしようすると、

 リンティンは豹変する。


 始まりの街にいる冒険者とかごろつきが心配だった。

 いつかアモスを殺してくれる人がその中にいる可能性だってあるのだから、

 可能性の芽をリンティンがつぶすのを懸念していたが、

 冒険者ギルドの人々は、新しいダンジョン登録にうれしそうにしたそうだ。


 ちなみに攻略の条件がアモスを殺すこととなっている。

 なので冒険者たちはわしを殺そうとするだろう、ぐへへっへ、やっと死ねるぜ。


 リンティンは相変わらず掃除をしている。

 アモスは念視により現在1階層で沢山の冒険者がやってきているのを見ている。

 それもほとんどが若い人で。


 ちなみに安全なダンジョンには復活ポイントが設置してある。

 ダンジョンの入り口にアモスは復活ポイントを設置した。


 このダンジョンで殺されるまたは重症を負ったら復活ポイントで復活する。

 重症の場合は復活ポイントに入るだけでどんな傷でも癒せる。


 あまり安全なダンジョンとかはないので、

 こうした復活ポイントは重宝がられるし、

 冒険者ギルドとしてはアトラクションとしてダンジョン攻略を進めることができて、

 さほど懐が痛くなるわけではない。



 ただ。妙なのだ。念視で見ていると、1階層の相手に冒険者は手こずっているようなのだ。

 たしか1階層はスライムの間だったはず。


 あんな雑魚相手にあいつらは何をしているのだろうか、


 アモスは念視で意識を飛ばし、

 ドッペルゲンガーの容量でその光景を見ていた。


―――スライムの間―――


 アモスは鑑定スキルを作動させる。

 そこにいた数名の冒険者のすみから隅までを確かめる。

 アモスの鑑定スキルはとんでもなく改造されている。

 人々はそれをチートと呼ぶらしい。


 1人目がフィーズという名前の25歳の男性だった。冒険者になってからとても長い間冒険してきたようだ。住まいは始まりの街で、防具はドラゴンレザーの防具のようだ。武器はよく壊しそうだ、アモスと同じ人間種族だ。髪の毛は黒で、ちょっと勇者をイメージしたのかつんつんとしている髪型であった。


 彼はぼろぼろになったロングソードをふりまわしている。


「つーかなんであのスライムかてーんだよ、聞いたことねーぞ」


 フィーズの断末魔、

 それは目の前にいるたった1体のスライムに向けられている。

 沢山の冒険者がいるので1人1体という感じでスライムが相手している。

 水色の姿はどこにでもいるスライムなのだが、

 そのスライムは普通ではないというか、

 この部屋にいるスライムは全部が普通ではないのだ。


 なぜならアモスが品種改良してしまったのだ。

 そんなことを思い出していて、うむ、とか呟いていた。


 冒険者フィーズはぽっきりと折れたロングソードを投げると、

 アイテムボックスらしきものからまたロングソードを引っこ抜く。


 アモスも使うことができるが、アイテムボックスという便利アイテムがある。

 そのアイテムボックスを手に入れると、なんと、無限のアイテムをボックスの中にいれ続けることができるのだ。


「つーか、今ので50本目だぞ、スライム1体でボス級かよ、しかも赤字になるぞ、いやまて、普通のスライムではないということは、すごいドロップが」


 フィーズがあーでもないこうでもないと言っていると。


 スライムがフィーズの腹に体当たり、

 フィーズは右から左へとまっすぐに吹きとばされて、

 頑丈なマジックキャッスルの壁に激突するも、

 そこを突き抜けるわけではなくて、


 弾かれて、頭から大量出血して、


 どうやら死亡したようだ。

 体が消滅する。


 ばいばい、復活ポイントからまたやってきてね、


 アモスはにやりと笑っていた。


 彼は別な方を見る。

 現在1階層にて念視からドッペルゲンガーになっている。

 色々な場所を見て歩くことが出来るし、相手からはこちらを見ることはできない。


 奇妙な集団を見つけたのはその時だった。


 またもや改良されたチート鑑定にて、

 その3名を見つめることとする。


 1人は女勇者でありながら、まだ18歳という若い女性、

 珍しいことに髪の毛は銀髪で、もしかしたらアルビノ性があるのかもしれない、

 鉄の防具に星の髪飾り、あの星の髪飾りはアモスが子どものころにはやったおもちゃだった記憶が。腰には2本のレイピアを装備している。住処は始まりの街のようだ。

 種族は人間であり、

 

 名前はメイルンという名前だ。

 

 その隣を並列するかのごとく一緒に走ってスライムに魔法を炸裂させているのが、

 黒いローブと黒いフードをつけている。ウサギのお面をつけているのが謎だが、4本のステッキを背中に横向きにくくりつけている。住まいは始まりの街で、どうやら精霊族のようだ。年齢は15歳、魔法使いだ。


 名前はネネーネというらしい。

 


 精霊族とはとても珍しい種族と呼ばれている。

 自然の魔法を吸収するのが得意だとか。


 わしは大賢者だから精霊魔法もある程度は習得してある。


 最後の1人はドワーフ族の老人が沢山の荷物を背負って逃げまとっている。

 それはスライムたちから逃げているという感じなのだ。

 白いシャツとだぶだぶのズボンでありながら、背中には巨大な荷物を運ぶ支えが装備されている。背丈はとても小さいことからドワーフ族だ。

 運び屋らしく、確か、アイテムボックスをまだ持っていな人は運び屋という職業の人を雇うと聞いたことがある。

 

 年齢は300歳、まだまだクソガキじゃとか思ったアモスであった。


 アモスはその3人パーティーに目を付けたのだ。


 ようやく自分を殺してくれそうな人を見つけたことのうれしさ、

 感動さは誰にも味わえないものだろう、

 なによりあの3人組を育てることこそが、アモスを殺してくれる鍵となる。


 そうアモスは思った。

 どこの世界に自分を殺しに来る集団を育てようと思う人がいるだろうか?


「ふ、わしじゃ」

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