傘を差す日は晴

@myu_s24

プロローグ

 昔々、あるところに幸せな街と呼ばれる街がありました。

その街では戦争も貧困もなく、人々は豊かで幸せな暮らしを送っていました。

 しかし、その街には誰にも言えない秘密があったのです。

 街を少し外れた森の奥。そこには一人の神様がいました。

その神様はこの世のあらゆるものを手に入れることができ、

また支配することができたのです。

 幸せな街の住人は、街の幸せを条件にこの神様とある契約を交わしていました。

街で幸せに暮らせるために、100年に一人、贄を出さなければなりません。

 ある年、一人の少年が贄に選ばれました。

贄に選ばれた少年は、涙を流しながら神様のもとへ向かいました。

 神様は少年に言いました。

「ここへ来たからにはもう帰れないよ。それがルールだから」

 そういうと神様は黒いローブを渡しました。

 少年は黒いローブを着て言いました。

「僕はこれからどうなるの?」

 神様はいいました。

「そうだね、君はこれから100年街を守り続けるんだ。この森でね」

 そういうと神様は消えました。

 それから100年後。

幸せな街でまた、贄を出すことになりました。

今度は少女が選ばれました。

少女は何かを悟ったかのように、神様のもとへ向かいました。

神様は黒いローブを被っていました。

 そして神様は少女に一言いいました。

「待ちくたびれたよ」

 神様はそういうと消えてしまいました。

 残った黒いローブを少女は拾い上げました。

少女は黒いローブを深く被りました。

そして森の奥深くへ入っていきました。




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