第22話 私が変われたのはあの人のおかげ
「ほんとにすまねえ🙏……」
「そ、その…… 大丈夫です」
ふぅ〜 いいものを見てしまったと内心喜んでる自分が憎い。これが神野だったらビンタが飛んできていたところだが。危ねえな。
「………私のパンツとか見ました?」
莉愛ちゃんが細い目で俺を見てくる。あれ?莉愛ちゃんってこんなキャラだったっけ?
「そ、その…… ちょっとだけ……」
「そ、そうですか…… 多分勇太くんの前だから素直になれますけど…… ハート柄のパンツ。どうですか?」
「え⁉︎ え〜っと……」
まさかその質問が飛んでくるとは思わなかった。
「き、君は………」
「私…… 勇太くんの前だったら素直になれます。安心するんです。なぜかわからないけど…… それで感想は……」
こ、困ったな……
「そ、その…… 可愛いかったというか…… エロかったというか……」
莉愛ちゃんが頬を赤らめる。
「そ、そうですか……」
(私。何聞いてんだろ? 勇太くんは引いてるかな? なぜか勇太くんの前じゃあ言いたいこと言えるんだなぁ)
「…………」
「…………」
もはやこれ以上会話が進まない。今日はちょっと終わりにしよう。
「きょ、今日はありがとな」
「は、はい…… こちらこそありがとうございました! 楽しかったです」
俺にパンツやおっぱい見られても楽しいって言ってくれるとは…… この子はいい子だなぁ。
帰り際に莉愛ちゃんは一言だけ言った。
「ゆ、勇太くん。ちょ、ちょっと耳を貸して下さい」
「ん? なんだ?」
俺は耳を貸す。
「私…… あなたに恋をしたのかもしれません❤️!」
「へ💓⁉︎」
莉愛ちゃんは笑顔で帰っていった。
◾️◆◇
「あっ! 莉愛ちゃん!」
「先輩!」
神野は次の日早速デートのことを聞きにいった。
「どうだった? あいつ。変なことしなかった?」
「だ、大丈夫ですよ…… 優しい人でしたよ?」
「ふ〜ん…… あいつがねえ……」
(実はおっぱい見られましたとかパンツの感想聞きましたなんて言えませんよね)
「そ、その…… エッチなこともされなかった?」
「さ、されてませんよ……」
内心ドキッとする山野莉愛であった。
「その…… 一つ聞きたいことが……」
「うん? 何?」
「先輩は…… 勇太くんのことが好きですか?」
この質問がしたかった。
「そ、そ、そんなわけないでしょ⁉︎ あ、あんなやつなんで……」
「先輩。顔が赤いですよ?」
「な、なんでもない。ふん。莉愛ちゃんも少しは成長したわね」
神野はそそくさと去っていった。
「ふふふ。成長したのはあの人のおかげかなぁ」
山野莉愛はつぶやいた。そして……
「先輩! 私たち。ライバルですね!」
と残していった。
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