第16話 1回カッコつけるなら最後まで

や、やべえ。もう最高だ!


「ちょっとあなたねぇ💢? そんなキモい顔しないでよ! これだからちょっと気を許すと……」


「そ、そんな顔してねえよ! お前だってこんなにくっついてきて……」


「そ、それは…… たまたまよ! 私がちょっとよろけた所にあなたがいたのよ!」


「ふん💢!」


(くっそ〜 俺何言ってんだよ? ほんとは神野が抱きついてきてめちゃくちゃ嬉しかったくせに……)


「ふん💢!」


(ああ〜 もう私ったら! ほんとは勇太に抱きついたら安心するから自分で行ったのに……)


「…………」


「…………」


はぁ〜 このままじゃらちがあかないな。ここはカッコつけさせてもらうぜ?


「ああぁもう! いいから俺についてこい! ぜってえ守ってやっから!」


「え⁉︎ あ、ありがと💘」


ふぅ〜 一回こんなセリフ言ってみたかったんだよな。夢を一つ叶えたぜ!


◾️◆◇


「ちょ、ちょっ…… は、早く行け!」


「キャー⁉︎ ま、待ってよ! ま、守ってくれるんじゃ……」


「う、うるせえ! は、早く来い!」


「も、もう何よ! あなたったら…… キャ〜‼︎」


あの後は散々だった。もうどこを歩いてるか暗すぎてわかんねぇし。あっちこっちから変なものが飛び出してきて……


「もう〜 臆病者!チキリ!」


「くっそ〜 甘えんぼ!怖がり!」


俺たちはやっとのことで出口にたどり着いた。


「はぁ〜 はぁ〜 想像以上だな」


「ふぅ〜 ふぅ〜 怖かった😭〜」


出口にはいつの間にか撮られた写真が画面に表示されていた。


「あっ! これ私たちじゃない?」


「ん? ほんとだな。ってこれ……」


表示されたのは俺と神野が抱き合ってるような写真。ほんとに抱き合っているのか? それともそう見えるだけなのか? とにかくどこをどう撮ったらこうなるのか。


「ちょ、ちょっと勇太⁉︎ いつの間にこんなことを……」


見ると神野の顔が真っ赤だ。ほっぺまで火照っている。恥ずかしい顔も可愛い💕けど。


「べ、別に故意的にしたわけじゃない。そ、そうだ。お前がくっついてきたんじゃないか?」


「んな⁉︎ そんなわけないでしょ!」


「ほんとにお前は……」


「ほんとにあなたは……」


『ほんとにバカ〜〜‼︎』


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