第15話 やっぱり大学生でも素直になれないのは同じ

「や、やっぱりこっちにしておく……」


「え?」


きゅ、急にどうした? あんだけ食べるっつって張り切っといて。


「そ、その…… よく食べる女子って変かな?」


「い、いきなりだな…… そうだな。俺は嫌いじゃないぜ?」


「そう! よかった❤️」


「いきなりどうした? もしかして俺に惚れちゃったか?」


ド直球に聞いてみた。もちろんこれは仕事上の関係だとわかっているが…… ここまでデートにこぎつけたのは実際初めてだと思う。しかも楽しいし…… この際はっきり言うが…… 多分俺は神野亜美にほんとの恋をしている! もちろん本人には言えねえけど。


「そ、そ、そんなわけないでしょ! あなたは仕事上仕方なく付き合ってるの! 感謝しなさい?」


「で、ですよね〜」


イタイ。胸がイタイ。やっぱ聞かなきゃよかった。


(はぁ〜 また変なこと言っちゃったよ…… なんで私は素直になれないんだろ?)


「…………」


「…………」


大学1年生。デート真っ最中。どちらも素直になれないようである。


◾️◆◇


「次はどこ行くんだ?」


「勇太決めてくれていいよ?」


「え? ほんとにいいのか?」


「ま、まあ。一応今日は彼女なんだから勇太に着いてってあげる❤️」


そんなにアピールしないでくれよ。俺お前のこと。もっと好きになっちゃうからさ。


「じゃあここで!」


◾️◆◇


「ゆ、勇太? ほ、ほんとに入るの?」


「ん? どこでもいいんだろ? もしかして怖いのか?」


「そ、そんなわけないでしょ?」


「……………」


「う〜 勇太のいじわる〜!」


俺たちはお化け屋敷の前に立っている。ここは怖いって評判なんだぜ? ここでカップル成立の例も少なくない。俺だってもっとイチャイチャしたいんだよ〜!


「よし! じゃあ入るぜ?」


「あ、あんまり早く歩かないでね?」


神野がくっついてくる。そう。これだ! お化け屋敷はこの密着感がたまらない。このおっぱいの感触といい匂いが俺の脳を刺激していくんだ。そして身体も反応してしまう。あとはもっと何かきっかけが………

そして始めの方でいきなりお化けが出てくる。まあでもこれくらいじゃあ……


「キャー⁉︎」


神野が俺に抱きついてくる。


(これだ〜!)


俺は心の中で呟いた。

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