第8話 冗談もほどほどに

これはチャンスだ。今俺の家の中に入ってもらえば少しでも俺に惚れちゃうかもしれない。


「もしよかったら俺の部屋に・・・」


「絶対にいや〜!」


「・・・・・」


「あなたの部屋なんか何があってもいや!」


即刻拒否られた。そりゃあそうですよね〜 てかもう頼まれても入れてやんねえぞ!


「うそ〜 ないない〜! どこよ〜!」


神野亜美は必死で鍵を探し続けていた。


ポツン。ポツン。


「あ。雨だ」


「え〜⁉︎ うそ〜⁉︎ 早く探さなきゃ!」


雨がだんだん強くなってきた。ふん。さっき俺の部屋に入っておけばよかったものの・・・ 少し可愛いそうだな。そしてとうとう諦めたのか、


「・・・れて」


「ああ?」


「だから・・・ あなたの部屋の中に入れて」


俺に頼み込んできた。はぁ〜 さっきあんだけ嫌がってたくせにな。


「嫌だっつったじゃねえか」


「さっきのはなし。お願い〜 なんでもするから〜」


珍しく神野亜美が頼みこんできている。よく言うぜ。


「ふん。じゃあ今俺に抱きついて勇太大好き❤️とでも言ってみろよ」


俺は絶対できないお願いをした。当たり前だ。人のことを散々愚痴っておいてすぐに部屋の中に入れれるわけないだろ?


「・・・・・」


沈黙している。仕方ない。ここらで許してやるか。


「もういいよ。部屋の中に・・・」


「勇太! 大好き❤️!」


いきなり神野が抱きついてきた。甘い香りとおっぱいの膨らみ。やばい。たっちゃう。てか俺の童貞ライフじゃあ性欲が制御できなくなる。


「な、な、なにするんだ⁉︎」


「あ、あなたがやれって言ったんでしょ⁉︎」


「い、いや・・・ あれは冗談のつもりで・・・」


「はぁ⁉︎」


とその時カランと音がして鍵がかばんから落ちてきた。


「あっ! あった!」


「ふぅ〜 一件落着だな・・・」


「一件落着じゃないでしょ💢⁉︎ もうばか〜!」


勢いよく部屋の中に入っていってしまった。絶対怒ってるよなぁ。


「まあ・・・ ばかはお互い様だろ?」


俺はそうセリフを残して部屋に戻った。


「う〜・・・ ばか❤️〜」


神野亜美は部屋の中でそうつぶやいていた。



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