第7話 ダブルデートのお誘い

「な、な、なんであなたがここに⁉︎」


「・・・それはこっちのセリフだ」


隣の家にこいつが住んでいる。よくあるパターンだ。予想を外れてほしかったのだが・・・


「もう〜 学校が一緒なだけで嫌なのにあなたが横に住んでんの?」


「・・・・・」


またまた胸に刺さることを言う・・・ 神野亜美に戻ってくれよ。あん時はおっぱい揉んだ仲だろ?


「あのな・・・」


「じゃあ私には関わらないでね? バイバイ❤️」


「・・・・・」


うん。もはやしゃべることもできない。しかも悔しいことに最後の笑顔に惚れてしまった。


「くっそ💢〜 なんであんなに可愛いんだよ💕〜 惚れちゃうじゃねえか💢!」


大学生活まっしぐらの俺。危ない青春を渡ろうとしています。


◾️◆◇


「勇太〜 今度ダブルデート行こうぜ?」


学校の休み時間に突然武が言い出した。


「は⁉︎ い、いや・・・ 俺彼女いねえし」


「またまた〜 敬太がこの前お前がデートしてるとこ見てたんだぜ?」


「・・・敬太のやつ」


ちなみに敬太というのは俺のもう1人の親友斎藤敬太のことだ。


「てか武は彼女いんの⁉︎」


「あ、当たり前だろ? なに驚いてるんだよ? 大学生になって彼女いねえ方がそもそもおかしいって」


「うっ・・・ ま、まあそうだな」


心が痛い。まさか振られたショックで仕事としてデートしてましたなんて言えねえし。まず仕事のこと知られたくないし・・・


「はぁ〜 一回だけな?」


「ははは。さすが勇太だぜ!」


◾️◆◇


「あなた本気で言ってるの💢?」


「頼む。もう一度だけ・・・」


「いや。本気で言ってるなら病院行って!」


相変わらずの暴言。一応仕事じゃねえのか?


「もう一度だけだから・・・」


「絶対にい・や!」


「・・・・・」


やはりダブルデートっていうのは無理あったか。仕方ないよな。仕事だし・・・ どうしようかな? ん? 仕事かぁ・・・


「よし。こうなったら・・・」


「い、いや。あなた何を・・・」


俺は慌ててスマホを手に取り、ある番号へ電話した。


プルルルル・・・ プルルルル・・・」


「はい。こちら彼氏募集アルバイト会社です。何か御用でしょうか?」


「え〜っと・・・ この前仕事しました天野です」


「ああ〜 天野様。この度はどんな御用で?」


「今度の日曜日。神野亜美を予約で」


「え〜 日曜日ですね。かしこまりました。それではよい青春を」


プー・・・ プー・・・ プー・・・


やってやった。これでもはや仕事だから断れない。


「あ、あ、あなた・・・ やってくれたわね💢」


亜美ちゃんが悲痛な声を上げる。


「ふん。これで断れねえだろ? 悪いようにはしないから・・・ 頼むよ・・・」


俺は土下座した。無理やりしたことは悪いと思っている。でもこいつじゃなきゃだめなんだよ。


「・・・わかったわ。一回だけだからね?」


「あざっす!」


「ふん。調子いいんだから・・・」


俺は安心して部屋に戻ることにした。一応ここは通路だからな。


とその時・・・


「ま、まずい・・・」


「あん?」


「家の鍵無くしちゃった😭」



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