第6話 二重人格という説

「や、やっぱり・・・」


神野亜美だったか。名前を変えてっけど俺にはわかる。この目はごまかせねえぞ?


「あなたねぇ? なんの用よ?」


「べ、別に用ってわけじゃねえけど・・・」


「ふ〜ん💢 じゃあもう帰っていい?」


おいおい。逆ギレかよ・・・ てか、さっきまでのおとなしめキャラはどこに行ったんだよ。なんかこれこそ神野亜美って感じだな。


「そ、それより名前が違うのは・・・?」


「もちろん神野亜美なんか偽名に決まってるでしょ? この仕事やってるの周りには秘密なの!」


「そ、そうか・・・」


な、なんでそんなに無駄に怒んだよ? あの可愛い亜美ちゃんはどこへ行った?


「あなたも絶対秘密よ? てかあなたと一緒の学校なんて・・・ しっかり調べておくんだったわ」


「そ、そんな言わなくても・・・」


「だ・か・ら・・・ 私の仕事は絶対秘密! あと私にあんまり喋りかけないで! あなたといると変に思われるでしょ?」


「お、おいおい! な、なにもそこまで・・・」


「絶対よ! わかったわね?」


走り去ってしまった。一緒の学校にいる嬉しさ反面、なんかすげえめんどくせえ。


◾️◆◇


「くっそ〜 なんなんだよあいつは!」


完全に騙されている。あの初めて会った時と学校での対応が違いすぎる。あいつは二重人格かなんかか? どう考えてもひどい。しかもネットにはこう書かれている。


[あなたのプライベートを幸せにします! 少しならエッチでもなんでもOK! 私が1日恋人になります!]


くっそ〜 笑えない冗談だ。確かに仕事としての神野亜美はもはや神レベルの彼女だ。でも学校の神田夢はインキャを装った完全な別キャラだ。しかも俺に対しての当たりが妙に強すぎる。


「はぁ〜 顔とおっぱいに騙された! 性格の本性がキツすぎるだろ〜!」


まあこんなことを言っていてもしょうがない。俺の童貞ライフが消えるわけでもないし。あの時はこの仕事最高〜!とか思ってたのに。


「そもそもこの仕事の意義はなんなんだ?」


確かにずっと不思議に思っていた。お金がもらえるうえに、美少女とデートするだけとかどう考えてもおかしな話だ。


「くっそ〜 腹立つ腹立つ! ベランダにでも出よう」


外の空気でも吸って気持ちを和らげよう。


『はぁ〜 なんであいつがあの学校に?』


偶然にも誰かと声がそろってしまった。 はぁ〜 嘘だろ? 嘘だと言ってくれよ。

俺は恐る恐る横を見た。


「あっ! あなた⁉︎」


「はぁ〜 やっぱりかよ・・・」





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