第5話 この転校生ってもしかして・・

「わぁ〜! やべえ遅刻だ〜!」


大学に8時集合の俺は7時半に起きてしまった。


「くそ! このポンコツ目覚まし時計が!」


昨日は亜美ちゃんこと神野亜美とのデートの後、浮かれていて酒飲んで気づいたら寝ていたっけよ。


「くっそ〜! 携帯どこだ?」


俺は色々探し物をして外へ出た。やっぱ整理整頓は大事だって学ぶよな。


「はあ、はあ、はあ…… ま、間に合った!」


間一髪、チャイムギリギリで座った。


「よぉ〜 勇太、遅かったなぁ」


「るせえよ、寝坊だ、寝坊!」


こいつは俺の1番の親友、水野武だ。いつも俺とやんちゃしている。


「おい、天野、水野、うるせえぞ! 先生の話を聞け!」


『ほーい』


「え〜 今日から隣のクラスに転校生が来る。みんな仲良くするように!」


転校生なんて珍しいな。こんな時期に誰が来るんだよ。


「おい、勇太。転校生の子、めっちゃ可愛いらしいぞ?」


「へぇーマジで? 俺一目惚れしちゃうかも〜」


「なはは。お前何言ってんだよぉ」


「へへへ、冗談だよ」


なんて冗談言いあってると、転校生の子が入ってきた。


「となりのクラスだが一応紹介しておく。神田夢だ。仲良くしてやれよ」


「はじめまして、神田夢です。よろしくお願いします」


「ん?」


あの髪型、あの顔、そして体型、眼鏡をかけているが、あれは神野亜美じゃないか?


「あれ? 勇太知り合い?」


「ち、ちがう・・はず」


「てか可愛いのは可愛いけどインキャっぽいよな。なんか俺のタイプじゃねえな」


いや、あれは神野亜美のはず・・ 眼鏡をかけて髪型を少し変えているが、俺は騙されないぞ。


「じゃあ授業を始める! 今日は………」


その後の授業はまったく頭に入らなかった。もっとも真面目に聞いてる日の方が少ないのだが。

放課後すぐに亜美ちゃんのもとに行った。


「あ、あの…… 君はもしかして……」


「うっ…… ひ、人違いじゃないですか?」


いや、この姿は間違いなく神野亜美なはず・・


「じゃあ…… 眼鏡取ってください」


「い、いや……… それはちょっと……」


「別にいいですよね? 取って下さい」


「…………」


これで正体がわかるはず。


「はぁ〜 そうよ! 私が神野亜美よ!」

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