第4話 出会って怒って、そして本物が

「このスイーツおっいしい〜💖」


「うっまいな!」


ここのカフェのスイーツは絶品だな。まあこの彼女12人歴をなめちゃいけねえな。女子が喜びそうな店は大体わかっからな。


「ほら勇太、口開けて❣️ あ〜ん」


「お、おう」


ここは天国ですか? 今までの人生なんだったんだよ。あ〜んなんてほんとの彼女にもされたことないんだぜ?


「あ、あの‥‥‥」


「ん? な〜に?」


「い、いや‥‥ 胸、見えちゃってるけど‥‥‥」


そう。しかもこの絶妙な角度。見えちゃうんですね。これが。さすがの俺も黙ってるわけにはいかないし。


「あれ? そうですか? なんなら私のおっぱい、触っちゃいます❤️? ほれ、ほれ」


「ちょ‥‥ なにを‥‥‥」


亜美ちゃんが俺の手を引っ張ってきて自分のおっぱいに触れさせる。

え? なに、この感触。柔らかいけど温かいんですけど。いや、もう最高なんですけど。


「‥‥‥勇太、さすがに揉みすぎ」


「え?わ、悪いな」


俺の興奮は絶頂に達したのか、気づかぬ間に亜美ちゃんの胸を揉んでいた。いやぁ〜 いい感触でしたよ。


「亜美ちゃん? 顔赤いけど?」


「もう〜 勇太が私のおっぱい揉むからでしょ❤️」


「あれ? もしかして亜美ちゃんって処女?」


「‥‥‥‥」


その瞬間、亜美ちゃんの顔が急激に火照っていった。


「そ、そ、そんなわけ〜 わ、私も一応この仕事だし〜 す、す、すぐに捨てたっていうか〜」


「い、いや、バレバレだよ?」


「うっ‥‥ そうなんです。私、処女なんですよ」


こ、こんな可愛い子が処女だと? 慣れていそうなのはフリだったのか〜 こ、これ、チャンスじゃね? 俺も童貞捨てるチャンスですかね?


「その‥‥ 亜美ちゃん? よければ俺と‥‥」


「と、とりあえず今日はこの辺で‥‥」


その瞬間、俺は我に返った。いや、俺なに期待してんだ? そう。これは仕事の内だ。彼女は決して俺に惚れてるわけじゃない。


「はぁ〜 やっぱりな。どうせ君も男子を口説いては遊んで、それでさよならだろ?」


「へ? ゆ、勇太?」


「女子なんかやっぱり男を道具としてしか見てねえんだよ!」


「ちょ、ちょっと待ってよ。ゆ、勇太、どうしちゃったの?」


「俺は勝手に舞い上がってただけなんだよ。どうせ君も、もて遊んでただけなんだろ?」


俺は言いたいこと全部言った。別に彼女が悪いわけじゃない。そもそも女ってものは‥‥


「はぁ〜? ばっかじゃないの?」


唐突に暴言が飛んできた。


「あなたって人はどうして人の行為を素直に喜べないの?」

「そもそもこの仕事に応募してきたのはあなたでしょ?」

「なんでそんな好き勝手言われなきゃいかないわけ?」


こ、これが神野亜美の本性。仕事だからと偽っている時とはまた違う。


「わ、悪かった。俺さ‥‥ 彼女にフラれてばっかでさ。なんか慰めてほしかったのかな?」


「‥‥‥‥」


「それでよ、頼れる人もおらんからよ。‥‥その、好き勝手言って悪かった」


確かに彼女はなにも悪くない。結局俺は自己満足で彼女を作っていただけなのだ。俺って最低だな。


「‥‥‥私は、あなたに惚れてるわけでもなければ、好きなわけでもない」


「ああ」


「でもね ……これが私の仕事だから。また俺最低なんて思うことがあったら私を呼んでね❤️」


ふっ…… やっぱり女ってわかんね。

でも俺は…… やはり偽りではなく本物の方が好きだ。


◾️◆◇


「え〜っと…… 電話電話」


「はい、こちら彼氏募集アルバイト会社です。ご用は?」


「あ〜 この前頼んだ天野です」


「あ、どうもどうも。お金は銀行に振り込んでおきましたので…… 神野亜美はどうでしたか? レビューをいただけるとありがたいのですが」


俺は…… 神野亜美の彼女でもなければ、まだまだ友達でもない。たまたま仕事で出会っただけだ。

だから正直に言う。


「最高でした! 星5つです! この天野勇太が保証します!」


「ではそのようにお伝えします。今後ともよろしくお願いします」


やっぱ人生いいことあるぜ〜










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