第2話 新手のバイト

「あんた誰よ?」


「私はですね。まあこのバイトの支配人とでも言いましょうか」


「はい? このバイト、ほんとにあんすか?」


こんな虫のいいバイト、あっていいのか? 

そもそもこいつ自体怪しいしよ。

黒いマント被ってマスクとサングラス付けてよ。


「ではこの電話番号まで」


紙を一つ落として去っていった。


「もう〜 なんなんだよあいつは!」


今日はいいことなしだ。もう帰って寝よ。それがいいわ。


「ふわぁ〜 もう朝か〜」


あ〜 疲れた〜 昨日はなにしたっけよ〜 たしか彼女にフラれて・・


「くっそ〜 思い出しただけで腹立ってくる。俺もそろそろ童貞卒業だろ〜」


毎日毎日自分で処理してるのにも、あきあきしてくる。てか悲しいよ。


「ん? この紙は・・」


なんか電話番号書いてあるし、なによこれ。昨日の記憶飛んじゃってるんですけど。


「とりま電話してみっか」


俺は受話器に手をかけた。


「もしもし〜 えーっと‥‥ とりま電話してみたんすけど‥‥‥」


「こちらは彼氏募集アルバイト会社です。なにかご用ですか?」


「アルバイト? それってどこでやるんすか?」


「えーっと‥‥ そちらの電話番号を教えていただけたら対応させていただきます」


「あー はいはい。えー 電話番号は‥‥‥‥」


「ありがとうございます。ではよい青春を」


「はい?」


電話が切れた。なんだよこれ? 新手の詐欺かなんかか?


「俺から金なんか出ねえぞ〜! バカヤロ〜!」


もう散々だ。最後の貯金千円でパチンコでも行くか? それともナンパに使うか? とりあえず暇だ〜


「金〜 金〜 金〜 誰か金くれ〜」


ピンポーン


「こんな朝早くから誰だよ〜?」


借金取りですか? それとも詐欺ですか? もうどうだっていい。何もかもが。


「はい。誰です‥‥」


「こんにちは❤️! ご主人様❣️」



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