第24話

「それで、あいつのことですけど」


「綾奈ちゃん?」


「他に誰がいますか……」


 正直、仲間としてやっていけるかどうか祥介には不安でしかなかった。

 雪華とは間違いなく連携は取れないだろうし、軽薄な悠雀とも噛み合うとは思えない。祥介自身も彼女と上手くやれるイメージが全く湧かなかった。


「まぁちょっとやることが極端かもしれないね」


「そこが地味に怖いんですって」


「んー、でも私達のなかじゃ多分、祥くんが一番仲良く出来ると思うけど」


「……ただの消去法でしょ」


「ううん、私よりも確実にあるわ」


「ほほう、どのあたりで?」


「四つあります」


「聞きましょう」


 真澄は親指以外の指を立てて見せる。


「一つ、清賴学園では珍しい転校生ポジション」


「そこを共有しても変わるとは……」


「一つ、ちょっと何考えてるかわからない子枠」


 なぜ、祥介の教室でのポジションを知っているのかと思ったが、多分、邑の告げ口だろうと思った。二人は祥介が思う以上に仲が良い。とはいえ。


「同じ枠でも好感度が桁違いですね。あいつはクラスじゃ人気者ですよ、俺と違って」


「じゃあこれは? 清賴が生まれて初めての学校なこと」


「あぁそれは確かに…………え?」


聞き返す祥介を見て、真澄は嬉しそうに続けた。


「ね? 仲良くなれそうでしょ?」


「いや、あいつ初めてなんですか?」


「うん、そう聞いてる。危ないからね」


「……ソーサルは命を狙われるから」


 真澄は頷いた。


「セイスは代々銀髪で同じ色なんだって。あんな髪の色、染めて出せるようなものじゃないから、他のソーサルに比べて特徴的過ぎるのよ。どうやっても黒く染まらないらしいし。今の時代、情報はすぐに飛び交うし、小さい頃から学校どころか外出もほとんど出来なかったみたい」


 それを聞いて、祥介は腕を組んで顔をしかめた。

 今朝の綾奈が着用していたローブ。あれは自分の身体的な要素を隠すためだったことは明らかだ。それがなおのこと、ソーサルナンバーであるということを物語っている。


 それは普通の人間の立場からは推し量れない宿命があるように祥介は感じた。

 

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