第136話 メープル王国着

カレン達の転移魔法でメープル王国へ転移するというのが一番早いのだが、眷属化していないカレンに転移魔法を付与することはできない。

したがって、スノーホワイトから飛行艇で向かうことになった。

まずはスノーホワイトへの転移だ。

今回の参加者は、カレン、サユリ、マリの勇者パーティとバンド仲間のミク、リンの5名だ。

メープル王国でコンサートを開くのも目的の一つだ。

スノーホワイトの郊外に出て、飛行艇を出した。

初めて飛行艇に乗った5人は大はしゃぎだ。

リン以外は飛行機に乗った経験があるはずなのだが。

程なくして国境に近づいた。

国境の検問で手続きをし、見えなくなったところでまた飛行艇で移動した。

目指すは王城のある王都だ。


「見えてきましたよ。あれがメープル王国王都の王城ですよ。久しぶりですね。なんか故郷に帰ってきたような気分です。」


カレンがそういうと、サユリとマリが頷いた。


「ここには私たちが訓練を行ったダンジョンがあります。初心者が潜れるレベルなので大したダンジョンでは無かったですが。日々訓練ばかりで観光する余裕も無かったので他の場所は分からないのです。あの頃は魔王が攻めてくると皆必死でしたから。」


「そうか、なら王様やギルドで聞いてみよう。」


あまり近づきすぎると攻撃を受けてしまうので馬車に乗り換えることにした。

王都の門に着くとカレン、サユリ、マリが馬車から降り、門番に話しかけた。

ここで以前に生活していただけあって、門番とは顔見知りだったようだ。

カレン達の元気な姿を見て門番たちは涙ぐんでいた。

本気で心配してくれていたのだろう。

そのまま王城へ向かった。

王城でも顔パスだった。

すぐに王との謁見の準備が整い、謁見の間に案内された。


「カレン、サユリ、マリ、無事で何よりじゃ。しかも、随分と強くなっているようじゃな。今はどこを拠点としておるのじゃ?」


「王様、お久しぶりです。まずは紹介いたします。こちらはブルームン王国、国王のスカイさんです。今はスカイさんのお世話になっております。スカイさんに鍛えていただき強くもなれました。それにスカイさんは実は同郷でして、ブルームーンは元の世界と変わらない何不自由のない生活ができるのです。今はとても幸せです。そして、新たな希望も頂きました。」


「それは良かった。安心したぞ。初めまして、スカイ殿。メープル王国国王のジンジャー・メープルと申す。カレン達が世話になっているそうでありがとうございます。私たちは魔王が攻めてくるという誤情報に踊らされてカレン達を召喚してしまいました。大変申し訳なく思っていたのだが、元の世界に返す手段もなく、女神の導きに従ってカレン達を送り出しました。幸せそうな顔をしているので安心しました。本当にありがとう。」


「初めまして、ブルームーン王国国王のスカイ・ブルームーンです。よろしくお願いします。」


「若干だがブルームーンの噂は我が耳にも入っている。今まで無かったアイテムや料理、学校があると聞いている。また、演奏会というものもあるらしいな。」


「その演奏会のメンバーがカレンを含むこの5人です。そこでこちらでも演奏会を行いたいと思うのですがいかがでしょうか?」


「それは素晴らしい。よろしく頼む。」


「では、今夜にでも予告なしのゲリラライブを開始します。驚いて攻撃したりは勘弁してくださいね。」


そして、夜までカレン達の案内で町を見てまわることにした。

これと言って目新しいものは無かったが、市場の片隅でモチ米を見つけた。

籾殻付きで家畜エサや罠に使うエサに使われているそうだ。

同じ店に小豆もあったのでありったけ購入した。

これで大福が再現できると思う。

一部は味見で、残りはブルームーンの農場とメルモダンジョンに蒔いてみようと思っている。


そして夜になった。

浮遊ステージの準備はOK!


「ミク、準備はいいか? 行くぞ! ミュージックスタート!」


夜空に音と光の競演が始まった。

何事かと宿や家から次々と住民が出てきた。

上空の浮遊ステージをみつけた。

注目を浴びたところでスキル起動。バフ効果発動。

ストレス解消とスタミナ回復のバフが町中の人々に着いた。

そして、音楽にのってきた。

初めての体験で戸惑っているが次第にノリノリとなった。

最後は大花火大会となり、夜空に大輪の華を咲かせた。

今回のライブも成功を収めた。


予想通り、次の日王様の呼び出しを食らった。

やりすぎた感はあるのでちょっと反省はしている。

しかし、王の反応は違っていた。

めちゃくちゃ喜んでいた。

カレンたちの楽しそうな姿を見れたのもそうだが、元気になったと。

それはバフ効果なんだけどね。

定期的にお願いできないかと言われた。

怒られなくてよかった。

そして、今後貿易的にも同盟を結ぶことになった。

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