第135話 公演ステージの準備
まず、アオイの店に向かった。
要件は昨日会ったカンタを正式な配達人に雇用し、メルモダンジョンからの配送を任せようと思ったからだ。
アオイに確認を取ると賛成してくれた。
メルモのとこ以外でも仕入れを任せたいとのことなので了承した。
「やあ、カンタ君。おはよう。」
「あ! スカイ様。おはようございます。」
「カンタ君に相談があるのだ。アオイの店の専属配達人として雇いたいと思うのだがどうだろうか?」
「え? 雇って頂けるのですか? それは非常にありがたいです。」
「そうか、じゃあこれを渡しておくよ。シルバー王国王都とブルームーンをつなぐゲートの通行証だ。これで往来が自由にできる。それと昨日渡したマジックバックを見せてくれ。」
マジックバックを無制限収納、時間停止にグレードアップし、形状を肩掛けカバンに変えた。
目の前で起こったことに驚いているカンタだったが、性能が上がったことを聞き腰を抜かした。
それから制服と自転車を支給した。
ついでに市場で仕入れもするので鑑定スキルを持っていた方が良いだろうと思い付与しておいた。
「給料はアオイと相談してくれ。では、よろしく頼むぞ。」
あとのことはアオイに任せ店を出た。
次は学校だな。
膿は出さないとまずいな。
俺が助けた孤児や元奴隷の子がつらい思いをしていると思うと居ても立っても居られない。
隠密を起動し、教室を覗いてみた。
貴族の子と思われる綺麗な服を着た男子がそばにいた子を突き飛ばし、蹴りをいれ、土下座をしている頭を踏みつけた。
その貴族の子らしい男子の首根っこをつかんで廊下に投げ捨てた。
踏みつけられていた子にヒールをかけてあげた。
「お前は誰だ! 俺を誰だと思っている! 子爵の息子の俺を投げ飛ばしてただでは済まさんぞ!」
「おい、ここはどこだかわかっているのか? そして、俺の顔をしらんのか?」
「知らん。俺に楯突いたのだから命は無いと思え!」
「ほう。お前こそ俺を知らないって、この学校の創始者の顔も知らんのか?」
「え? お前はいったい誰なのだ?」
「お前、馬鹿だろ。王様になんて口きいてんだよ。早く謝れよ。」
近くにいたクラスメイトが教えてあげた。
一気に青ざめた貴族の子は土下座を始めた。
「もう遅い。お前は退学だ。王にそんな口をきいたのだからこの場で斬り殺されても文句は言えないのだぞ? わかっているのか?」
次の日、馬鹿息子をつれて子爵が謝りにきたが、約束通り今後一切の入国を禁止した。
その噂が学校だけでなく、貴族の間にも広まり、学校に通わせていた親たちは慌てて子供に注意をしに学校に訪れたそうだ。
見せしめになったのでこれで学校は落ち着くだろう。
落ち着いたところで新たな施設の検討を始めることにした。
カレン達アイドルグループだが、基本ブルームーンのステージで公演を行っている。
他国からの要請もあるのだがステージが無いので断っていた。
そこで空中ステージが出来ないか検討しているのだ。
それであれば相手側でステージの準備をする必要がなくなり行動範囲が広がることになる。
レーザービームなどの盛り上げるアイテムも考えている。
花火なんかが上がっても盛り上がるかな。
試しに半球状のステージを作ってみた。
基本、浮いた状態で保持しなければならないので浮遊と飛翔のスキルを併用した。
なかなか良さそうだ。
レーザービームもなかなか良い。
問題は地上からは見え難いということだった。
真上ではステージの底しかみえないし、離れれば小さくて見えにくい。
大型モニタも使うのも手もあるかな。
悩んだ末、立体映像を映すことで見え難さを解決することにした。
真上に浮かんだステージの底に逆さまに映し出された立体映像。
とってもシュールだが、真上では生演奏しているので臨場感はそのままだ。
試しに今夜から使ってみることにした。
「カレン、久しぶりだな。元気だったか。」
「はい。楽しんでますよ。」
「リンはどうだ?」
「歌うのたのしい。」
「そうか、良かったよ。今日はこの新しいステージを試したいから協力してくれ。
未来の意見も聞きたいからよろしくな。」
「了解です。では、今晩よろしくお願いします。」
夜になり、ステージが開幕した。
熱狂的なファンが集まり、新たな演出に興奮した。
新しいステージは成功に終わった。
「スカイさん。特に問題は無さそうですよ。これでステージの準備のできない町にも遠征できますね。」
「そうだな。これを使ってカレンたちを召喚した国で公演してほしいんだ。召喚した王様にカレン達が今は楽しく過ごしてる姿を見せてあげたいのだ。心配しているようだしな。」
「了解しました。公園の準備をしておきます。」
カレン達を連れて、次の目的地の魔国に一番近い国メープル王国へ旅が決まった。
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