第15章 メープル王国

第134話 ブルームーン王国の現状

地上に戻った我々は、まずギルドに報告に行くことにした。


「ただいま戻りました。情報を公開します。」


「お帰りなさい。では、ギルマスに報告をお願いします。」


受付嬢とともにギルマスの部屋に向かった。

ギルマスに挨拶をしてから報告を始めた。


「疲れているので申し訳ありませんが簡単に報告いたしますね。今回10階層まで攻略しました。さらに下層が続いていることを確認しました。そして、警告です。10階層は封鎖することをお勧めします。生きて帰ってこれない可能性が高いです。フロア全体がトラップになっていました。足を踏み入れた瞬間に9階への階段と転移魔法陣が消え退路を失います。そしてスタンピード並みの魔物があふれ出します。おそらく数万は居たと思います。その魔物を殲滅すると9階への階段と転移魔法陣、11階層への階段が現れました。」


「なんと! よく君たちは帰ってこれたね。確かにギルドカードを見ると万単位の魔物を倒したという話は本当のようだ。4人でスタンピードを止めたということになるんだね。ランクを上げる必要があるね。3人のお嬢さんたちは今日からSランクだ。スカイさんは元々SランクなのでSSとしたいところだが私の一存では決められないので後程ということにしてくれ。後日でも構わないので6~9階層の情報も教えてほしい。受付嬢の方に報告してくれれば良いからよろしく頼む。」


了解したと告げ、受付に戻った。

また来るのが面倒なので6~9階層の情報を公開してから家に戻った。


「ただいま! 何か問題は無かったか?」


「「おかえりなさい!!!」」


何も問題は起こってないようだ。

しばらくはゆっくりしたい気分だ。

3人娘ももう十分やっていけるほどのレベルになったし、Sランク冒険者だしね。

ゆっくり出来たら今度はカレンを召喚した国に行こうと思う。

その夜、無事帰還したことを祝うパーティが開かれた。

妻や子供たちが幸せそうにしている姿を見て癒された。


次の日、久しぶりに自国を見てまわることにした。

商店街を歩いてみるとみんな幸せそうだ。

街に笑顔が溢れている。

国を作ってよかったとつくづく思う。

アオイの店は相変わらず行列が出来ていた。

久しぶりに覗いてみることにした。


「アオイ、繁盛しているようだな。」


「はい! お久しぶりですね。スカイさん。」


「って、その猫耳メイドはすばらしいな。似合っているぞ。」


「恥ずかしいのであんまり見ないでください!」


そこにリヤカーを引いた少年が現れた。


「まいど~、ご依頼の品をお持ちしました~」


「いつもありがとうね。はい、お駄賃よ。」


「ありがとうございます。またよろしくお願いします!」


「アオイ、彼は?」


「市場へ買い出しに行ってもらったんですよ。冒険者学校の卒業生の子で良い子なんですよ。」


「なるほど、君の名は? 俺はスカイだ。」


「え!? 王様ですか! 初めまして、カンタです。冒険者学校を卒業したんですが、強くなれず魔物討伐ができないので配達の仕事をしています。」


鑑定してみると体力、筋力はあるのだがMPと器用さが極端に低い。

確かに魔物を狩るのは大変かもしれんな。


「アオイがいつも世話になっているようだな。では、これをあげよう。ダンジョンで拾ったマジックバックだ。俺には不要だから君に使ってほしい。」


「え? こんな高価なもの頂けませんよ!」


「これからもアオイを助けてくれれば良い。頼んだぞ。」


「わかりました。ありがとうございます。」


「馬車1台分の容量はあるから配達が楽になるだろう。よろしくな。」


次に冒険者学校を見に行った。

貴族のご子息が増えたようだ。

なんとなく派閥のようなものが出来てしまったような気がした。

学校運営に携わっているマーガレット、シオン、マリアンを呼び出した。


「学校の雰囲気が変わってしまっている気がしたのだが、どういうことだ? 貴族の子供が平民を見下しているのではないだろうな?」


「そのようなことはないと思うのですが。」


「まさか貴族から援助金をもらっているから何も言えないとかじゃないよな? この学校は元々孤児のため、平民のために作ったものだ。そんなことになっているなら貴族を全て追い出すぞ!」


「そんなことをしたら貴族の反感をかうことになってしまいます。」


「そうか。では、貴族を追い出し、シルバー王国にある冒険者学校は閉鎖する。ブルームーンからも貴族を追い出す。これでいいか?」


「ちょっと、お待ちください。すぐに対処しますので早まった行動はお止めください。戦争になってしまいます。」


「構わん。歯向かった国は滅ぼしてくれようぞ。」


俺であれば一瞬で国を消してしまうことなど容易いことだと知っているため、3人は青ざめた。

俺は本気で怒っているのだ。

ちょっと見ないうちにこんなことになってしまうとは。

やはり経営を王族だけに任せたのは間違いだったようだ。

生徒全員に念話で警告した。


『全生徒に告ぐ。私はブルームン王国の王、スカイ・ブルームーンだ。この学校は身分の差を無くし、生徒はみな平等であることを入学当初に説明したはずだ。平民を見下したような態度を取った貴族が居た場合には問答無用で退学とする。なお、その一族は二度とこの国への入国を禁止する。よく覚えておくように。』


「3人は学校経営から退いでもらう。校長はアンリにし、教頭はマリン、マリアにやってもらうから。俺の方針に従えなかったのだから仕方ないよな。」


泣き崩れた3人であったが、学校を腐らせてしまった責任はとってもらう。

と言っても王妃と妻なんだよね。

しばらくは反省してもらおう。


気分を変えるためにメルモダンジョンに向かった。


「メルモ、状況はどうだ?」


「スカイ様、日本の作物も順調に収穫出来てますよ。強いていうのであれば問題はもっと私を構ってほしいくらいです。」


「善処するよ。ところでドリームシープとキラーブルの家畜化はどうだ? うまくいきそうか?」


「問題ありません。順調に増えていますのでもう少し過ぎたらアオイさんのお店に出荷できるようになると思います。」


「そうか、アオイの店にカンタという配達人がいるからその子に配達してもらうと良いぞ。んじゃ、サンプルに何頭かアオイに持っていってみるかな。」


アオイの店に転移し、新しい牛肉と羊肉を渡した。

霜降り牛肉を見たアオイの目が輝いていた。

またおいしいものを作ってくれるだろう。

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