第91話 スノーホワイトの転移者
「マスター! この町に転移者が居ます。しかもチート持ちです。」
いきなり脳内に流れるティアの声。
マスターって俺のこと?
「ちょっと言ってみたかっただけです。」
それでチートって何だい?
「生産系のチートスキル持ちで、鍛冶が得意のようです。それにあの有名なチートスキルの『ガチャ』を持ってます!」
鍛冶スキルはこれから自作の武器や防具を作りたいと思うので丁度良いけど、スキル『妄想』を持ってる俺にとっては『ガチャ』はあんまり魅力を感じないな。
とりあえず、コピーさせてもらうことにする。
このスノーホワイト王都で一番の鍛冶師らしい。
ティアのナビで店に向かうことにした。
ギルドや奴隷商が目に入ったが、先を急ぐ。
あとで訪れることにする。
店に入ると店の奥から小柄なドワーフのおっちゃんが出てきた。
鑑定してみると確かにガチャ持ちの転移者だった。
「こんにちは。俺は日本から来たスカイです。」
日本という言葉を聞いたおっちゃんは驚きと懐かしさのあまり涙を流していた。
そっとお土産の味噌と醤油と日本酒を渡した。
それを見てさらに喜んで号泣している。
手を握られて感謝された。
その隙にコピーさせていただき、こちらも感謝する。
コピーしたスキルは、『ガチャ』、『鍛冶の極意』、『錬金の極意』だった。
ガチャ: 金貨1枚で1回のガチャを回せる。スキル、アイテムが当たる。
鍛冶の極意: 武器、防具を想像するだけで生み出すことができる。性能は使用者の
レベルに依存する。
錬金の極意: 等価交換なしに魔力を使って錬金することができる。純度や性能は
使用者のレベルに依存する。
予想以上のとんでもないスキルだった。
店内を見渡すととても素晴らしい出来の装備が並んでいた。
スキルに頼らず、ちゃんと鍛冶を行っているらしい。
有能な人材なので我が町に来ないか誘ってみた。
即答で移住を希望した。
王様には申し訳ないが引き抜かせてもらう。
学校の講師もお願いした。
早速ガチャを引いてみると、『医療』というスキルが出た。
医療知識が加わることで鑑定が強化され病状が分かり患部が特定できる。
さらにヒールなどの治療魔法が強化され、ヒールでは治療できなかった病気も治すことができるようになるそうだ。
当たりのスキルを引いたようだ。
あとでマリンとマリアに付与してあげようと思う。
鍛冶の方も試してみる。
手裏剣とクナイを想像しスキルを発動すると忍者が持っているような手裏剣とクナイが現れた。
かっこいい。そしてこのスキルは便利すぎる。
まさにチートスキルだ。
この店と工房を合わせた敷地内のすべての建物をインベントリに突っ込み、おっちゃんとともにブルームーンに転移し、店を設置した。
おっちゃんの店は街路樹にサクラを植えた通りに決めた。
おっちゃんはサクラを見ながらまた泣いていた。
この町で幸せに暮らしてほしい。
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