第19話 姫との出会い

外はすでに薄暗くなっていた

前にいる集団も動いていないことからそこで野営するのであろう

こちらも新しくなった部屋でゆっくり休むことにした

今日のメニューは、オークのショウガ焼きである。


朝になり街に向けて出発

まだ前の集団は動き出していない

避けて森の中を進むか悩んだが、めんどくさいのでそのまま進む


騎士らしき人が近づいてきて、その場に止まれと指示してきた

街に向けて旅をしていると説明した

若干警戒を解いてくれ、隊長の元まで連れて行かれた

そこには大きく豪華な馬車が停まっていた

これはやばそうだ

警戒していたのも頷ける

もう一度旅の目的を説明して、立ち去ろうとしたところ

馬車のドアが開き、中からドレスを着た少女が顔を出した

貴族令嬢かな? やばい逃げようと思ったところ

シャナのもとへ駆け寄ってきた


「おはようございます。かわいらしいお方をお連れですね。」


「こちらはシャナと申します。

私はスカイです。街に冒険者登録を行うため旅をしてきました」


「私はマリアン・シルバー。シルバー王国の第4王女です。」


え?! やはりやばい相手だった

もう逃がしてくれそうにないので諦めるしかなさそうだ

メイドと10人の護衛と隣国の王城から帰る途中とのこと

姫様も街に立ち寄るそうで、馬車に乗せてくれるらしい

というか、同年代のシャナとおしゃべりを要望している

ありがたく便乗させてもらうことにした

俺は護衛として参加し、給料が貰えることになった

なんせ現在無一文なのでありがたい


マップで警戒しつつ、近辺にいる魔物を魔法で遠隔攻撃し狩っている

まあ、街道沿いなのでラビットやゴブリン程度なのだが

騎士にアンデット化するので魔石は抜いとけと言われたが

解体が無理なのでアイテムボックスに突っ込んでおくと言い、

インベントリに入れていった

魔法も驚かれていたが、アイテムボックスはさらに驚かれた

旅と言いながら軽装だったので怪しまれていたそうだ

警戒されたのに納得がいった

アイテムボックスはレアスキルだったらしい

失敗だったかもしれない

インベントリがばれていたら

さらにやばいことになっていただろう


マップに人の気配が

しかも、こちらの倍以上の集団だ

街道沿いに潜んでいるように見える

明らかに怪しいので、隊長に報告する

隊長は護衛に警戒態勢の指示した

俺は姫の護衛を頼まれ馬車に乗り込んだ


明らかにメイドの様子がおかしい

落ち着きがなくなっている

周りの警戒態勢の影響もあるが、それ以上におかしい

念話でシャナに姫を連れてRoomで待機するように伝える

こちらから指示するまで絶対に出てくるなと


「マリアン姫、緊急事態なので私の秘密を1つ教えましょう」

「私には空間魔法で部屋を作ることができます」

「危険なのでシャナとそちらで待機をお願いします」


姫は緊張した面持ちで頷き、シャナと2人で部屋に入っていった

メイドもついて行こうとしたが、姫の代わりに囮の仕事があると制止した

抵抗したが、しぶしぶ座席に座りなおした


馬車の外に出てると潜んでいたやつらが道をふさいていた

盗賊団のようだ

隊長にシャナに姫の護衛を任せ、戦闘に参加することを告げた

隊長から盗賊を殺しても罪にはならないことと、

賞金が出ることもあると聞いた

対人戦が初めてなので不安であったが、賞金の話で俄然やる気になった

護衛と盗賊団は向かい合ってにらみ合いとなった

ボスらしき大男が前に出てきて、大声で話しかけてきた


「第4王女の一団で間違いないか?」


これはただの盗賊ではないらしい

姫の命を狙ったやつの依頼で襲いにきた盗賊であろう

姫を避難させておいて正解だった

馬車に居たメイドが出てきて、ボスに駆け寄っていった

メイドは盗賊の仲間であった

襲撃が失敗した際は確実に姫の命を絶つ役目でそばに居たのだろう

もう人を殺すことの躊躇いがなくなった

姫を裏切ったメイドも含め許せない

ボスの号令とともに戦闘が開始されたのであった


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