第20話 盗賊と戦闘

そのころ姫はリビングのソファーに腰を下ろし

シャナの入れた紅茶でのどを潤していた

最初のころは、外の戦闘の心配をしていたのだが

目の前にある見たことのない光景、魔道具の数々に目を奪われていた

テーブルの上に置いたクッキーを口にした瞬間、外のことを忘れた姫であった


「なんなのじゃ、この甘味と風味のあるお菓子は!」


聞かれたシャナにはスカイから与えられたものであり

気にしたこともなかったので答えられなかった

シャナは、おいしいものが食べられればそれだけで幸せだったからだ

それにここにはトイレも風呂もあり、

使いたいときは言ってくれと伝えると

さらに問い詰められるシャナであった




そのころ外では、まさに戦闘が始まろうとしていた

盗賊団のボスの「お前らやっちまえ!」の号令とともに戦闘が開始された


先制攻撃は、スリープ&サンダーボールで盗賊団の動きを止めた

その後、護衛とともに首や心臓狙って刺し、討伐していった

さすがにボスには効かなかったため、大きな斧を振り回しながら向かってきた

アイスニードルとウィンドカッターでキズを負わせ、徐々に弱らせたが

馬車の目の前まで攻めてきて、隊長と打ち合っている

さすがにボスは手強い

魔法は隊長に当たってしまう恐れがあるため、

俺は支援にまわり回復と防御に努めた

キズは回復できているが、疲労はたまってきているようで

段々と隊長の動きが悪くなってきた

そろそろ危なくなってきたので交代することにした


隊長とボスの間に土壁をつくり戦闘を中断させ、

隊長へ代わることを伝えてからボスの背後に移動し声をかけた


「疲れているところに悪いが、今度は俺の相手をしてもらうぞ」


ボスはビクッとしてからゆっくりと振り返り、斧を構えた

ボスの攻撃を剣で往なし、隙をつきながら攻撃を行う

剣術と回避のスキルは伊達じゃない

ボスを鑑定してみると斧術と身体強化と強奪というスキルを持っていた

強奪は、武器や金品を盗む成功率を上げるスキルらしい

強奪を見て似たようなスキルが思い浮かんだ

戦闘中なのに余裕のある俺であった

妄想さん スキルを奪うスキルを頂戴


【ピロリン♪ スキルスティールを覚えました】


よし、試しにスティールを使ってみる

急にボスの動きが悪くなる

斧術と身体強化を失ったからであろう

腹に蹴りを入れ、転倒させ、首に剣を突き刺した

戦闘が終了した


隊長に感謝の言葉をもらった

本当は嫌なのだが、盗賊の死体を収納するように言われた

討伐の証拠のため街の警備隊に引き渡したいそうだ

指示者を探すのにも役立つだろうと

でも、魔物と人ではいくら亜空間と言えども持ち歩きたくはないな


あ! 姫のことを忘れてた

慌てて馬車に乗り込み、部屋の中にいる姫に報告した

戦闘のことよりも部屋の説明を迫られるのであった

インベントリからチョコレートを取り出し、口止めをした

チョコレートを口にした姫は目を丸くし、口止めを了承した

今晩からはこの部屋に泊まるらしい

俺はソファーで寝ることになりそうだ


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