第12話 試練、すなわち試験
モヤモヤする気持ちを他所に、クラス分けテストの説明が進んでいく。
「天命に拠れば、今日の試練は【其の力、触れずとも総て本意に在れ】と【其の力、二者の間にて調和し共鳴せよ】とある。始めよ」
教師が恥ずかしげのカケラもなく教科書を読み上げていく。標準語に訳すると「魔力を空中にキープした状態で、ペアのそれと融合させ、両者の威力差をゼロに近づけろ」と言っている。
魔法学において、魔力を魔法に変換せずにコントロールすることは基礎中の基礎だ。だが、魔力の流れには人それぞれ固有の波長のようなものがある。指紋のようなもので、その波長が完全に一致する例は少なくとも過去の研究上では見つかっていない。それを調和、と呼べるほどに合わせるのは人のクセなども相まって非常に難しいことだ。
つまるところ、このクラス分けテストはかなり難易度が高いと言える。勿論、高等部最初のテストとして確実にふるいにかけるのは正しいことなのだろうが、それにしてはかなり力が入っている。
普段の俺であればこの手の演習は大したやる気もないまま適当に切り上げ、一人でやらされる追試を待つのみだっただろう。だが、翔は俺の方を見て笑った。
「さあ、サクッと済ませようじゃないか」
素晴らしい積極性を見せた翔だが、俺はふと思った。いや、思わざるを得なかった。
コイツは馬鹿なのか?
なぜ俺は自分以外全員中二病の学校にいるのか 縁 @starlightneo18
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