第10話 邂逅
「お前、なんでここに…」
ストレートに、かなり失礼な質問を投げかけてしまう。しかしながら彼はあまり驚いていない様子で、
「どうしても何も、俺はこのクラスさ。…隣のクラスの人なんて、流石にまだ覚えてないか」
言われて、ほんのりと思い出す。進級したのだから、当然クラスだって変わっている。今まで合同授業があっても特に誰とも関わりがなかった俺は、そのことをただ単に忘れていた。
「…元々、他のクラスに興味なんてなかったから。授業もペアの人なんかいなかったし」
俺は正直にそう言ってやった。すると彼は笑って、
「そうか…なら、これからは俺と組んでくれないか?今までの相方とクラスが別れて、俺も困ってたのさ」
と恥ずかしげもなく俺をペアに誘ったのだ。
「…わかった。俺は風斬鎌居。お前、名前何?」
これまた随分とぶっきらぼうな口調で聞いたが、彼は気にしてないのか気づいてないのか、平然と返してくる。
「俺は
「よろしく…蒼也、くん」
「翔でいいさ」
彼はまた、屈託のない笑顔を浮かべた。
彼を見てると、なんだか今までの自分が嫌になってくる。それがどうしてなのかはわからない、ただただ、何かが喉奥につっかえているような気がするのだ。
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