第6話 常識の崩れる音

1問目にして大きな壁にぶち当たった俺は、次のページに目を運んだ。

「魔法学の経験がある人とない人で、この後の問題が変わる。

解答用紙の□に、魔法学経験がある人は1と記入して4ページへ、ない人は2と記入して12ページへ進め。」

当然、魔法についてなど何も知らないため、2と記入して12ページを開く。


「あなたは、『神』についてどう思うか…」(中略)


この時試験官が教室をジロリと見渡していなければ、危うく俺はこの教室からダッシュで逃げ出すところだった。この空間に満ちた重圧を悟った俺は、黙って数ページをめくってみた。

この辺りから俺の記憶はおぼろげでしかない。だから設問の内容も半分以上覚えていないし、残りもなんだか曖昧だ。記憶を振り絞って、当時の問題を思い出そうとしてみた。


「あなたは『奇跡』を(どうたらこうたら)はあるか。」

「あなたは『時間』(なんたらかんたら)できると思うか。」


これが限界だ。

これらの問題になんと答えたか、など覚えているはずがない。とにかく時間が過ぎるのを待っていたような気もするし、必死に一文字でも多く書き込もうとしていた気もする。


ただ一つだけ、非常に強く印象に残っている問題がある。

最後の問題は「『トモ』と聞いて、漢字を当てはめるならどんな字か。その内容と理由を述べよ。但し、一文字でなくても構わない。」だった。

俺は迷いなく『友』と書いた。理由は覚えてない。

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