第44回「本能寺の変」 (2021年2月7日放送)

●これは…天海か? 天海エンドなのか?

 それとも、麒麟の一部として、歴史を見守る妖精さんっぽい存在になったという解釈なのか?


●おそらく一番、蹴鞠のシーンが多い、大河ドラマ。

 麒麟がくる。

 ありぃぃありゃぁっ!


●秀吉とやりとりしていた書簡が見つかったので、細川藤孝のあのムーブは史実再現。

 どうやら、京都の様子とかの情報をリークしていたみたいだね。

 関ヶ原の戦いでも、正解の勢力を引き当ててるし、藤孝は世渡りのプロである。


●衆目の面前で恥をかかせられた光秀のダメージを、露とも感じてない信長ちん。

 あかん、あかんでぇ!

 ワイも【特定の社員にレッテルを貼って、晒し者にするのが大好きな社長】の下で数年間働いたことがあるけど。

 最終的に、ワイは混合性不安抑うつ障害と、冬期性うつと、社交恐怖と、パニック障害のプチ版みたいのを併発しましたよっと。

 退職者も続出したし、他にもダメージを負った人がいたので…まあ、そういうことなんでしょう。


●人間の感情に関する記憶には、人称が存在しないらしい。

 つまり、あの酒席の参加者全員が、折檻された光秀と同様の感情に陥った可能性が高い。(信長に同調した、蘭丸は除く)

 感情についての記憶には、人称がないからね。

 そういう意味でも、大勢の前でだれかを辱めるのは、マズイよね。という話。


●作中、信長はずっと信長なりに、自分の感情をコントロールし光秀らを労おうとしたけど、上手くいかなかった。

 これは、端的にいえば、【情報収集】の不足に起因していると思われ。


 光秀の娘の縁談を勝手に決めちゃった時が、顕著だけど。

 信長は、何か行動を起こす時、事前に誰にも相談しない。

 相手の要望を、聞き取ろうとしない。


 それじゃあ、親切にしてもらっても的外れ。アリガタ迷惑だ。


 前回の感想で、『信長は自分のウォンツが強すぎる』と述べたけど。

 相手を喜ばせたいのであれば、まずは、相手のニーズなりウォンツを調べないと。

 すなわち、それが【情報収集】。

 【情報収集】と【信頼関係の構築】は、臨床心理学においてカウンセラーが、まっさきに取り組まなければならない、健常なコミュニケーションの肝といえるものだよ。


●人には得手不得手があるものだから、信長が気持ちを読み取るのが苦手なのはしょうがない。

 ただ、その分、【情報収集】を人一倍心がける。習慣にする。

 自分のウォンツと同じくらい、家臣のウォンツを尊重する。

 というのが、この作品の信長政権に対する処方箋だった気がする。



●本作では、『色んな組織の崩壊』『なぜ人は仲違いするのか』をシミュレートしてきた。

 作中では言語化こそされてなかったけど、そこでポイントとなるのが【信頼(ラポール)】な気がした。


 斎藤道三はケチで、謀略が好きすぎて怖えぇのが災いして、国人衆にそっぽを向かれた。

 斎藤義龍は、家臣を誰も信頼できなかったばかりに、孤独の中で早世した。


 朝倉家は…どうだろう?

 それまで、損得勘定だけで動いてきたのが災いして。いざ、義景が『義昭を神輿に、京へ上るぜ!』とやる気になっても、家臣がついて来なかった感じだ。


 ついでに光秀自身も、信長に嘘をついて関係に亀裂が生じた。



●そして、最終回の光秀の謀反である。

 第42話の『将軍様と魚釣りイベント』を経てなければ、案外、光秀は将軍の捕縛に動いていたのではなかろうか。

 害さず、穏便には済ませようとはするだろうけど。


 『魚釣りイベント』で、光秀は将軍の本音を聞いたから、情が湧いてしまったのだろう。



●とどのつまり、人間というのは『正しいか、正しくないか』だけで動くわけではない。

 それでいえば、今回の『将軍キル』な信長の戦略眼は極めて妥当だし、光秀の見解【全ての戦は将軍に繋がっている】とも一致している。

 でも、光秀は理ではなく、情を優先した。


●『大きな国を創る』という理想は大層ご立派だけど、それだけは人はついて来ない。

 【信頼関係】が大事だし、信頼を構築するためには同じ釜の飯食って、【情報収集】して、相手のウォンツを知り、尊重することが第一。

 自分の夢を尊重してほしいのなら、相手の夢も叶えないとね。


●対して、本作の羽柴秀吉は、【信頼】の価値を自分は一切信じず、相手に取り入る武器としか考えていないご様子。

 その結果、あーなって、あーなって、秀次とか周りの有力家臣を罰して、あーなったのが彼の政権。

 信頼が足りずに、関ヶ原の戦に負けたのが、石田三成。

 映像化されずとも、【信頼】無き組織がどうなるか? その顛末が示されているように思えた。


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【自己紹介 板皮類 学名:ニョロリマス・オパーイスキー】


美少女ゲーム業界で14年。

その後、一瞬だけソーシャルゲーム業界にいた、元企画屋&シナリオライター。

なんとか麒麟がくる、レビュー完走できました!

ここまでお付き合いくださいまして、ありがとうございます。m(_ _)m

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大河ドラマ『麒麟がくる』を観て、気づいたことをメモしていく。 板皮類 @erottoia

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