12話.朝、目が覚める。
眩しくて目が覚める。カーテンを閉めるのを忘れたまま眠っちゃったみたいだ。昨日はいろいろあったからだろう。その証拠というか証というか、とにかく私の横には千花がまだ寝ている。
千花を起こさないように気をつけてベッドから抜けてベランダに行くと、いつも見る風景が真白になっていた。いつもより朝が眩しく感じたのはカーテンのせいだけじゃなかったようだ。メリーホワイトクリスマス。
寒くて目が覚める。そしてすぐ隣に先輩がないということに気づいた瞬間怖くなった。先輩があたしを置いてどこかに行ってしまうのではないだろうかという不安があたしの心をざわつかせた。
「千花。」
でもその不安は先輩の温かい呼び声ですぐに消える。
「こっちに来てみて。」
先輩の隣に立つと見えたのは明日の曇りはこの風景のためだったなと納得できるような風景だった。昨日は神様があたしたちのことを嬉しく思わないと思っているのではないかと思ったのだけれど、今日は神様に祝福されているという感じだ。
「メリーホワイトクリスマス。」
先輩は微笑みを見せながら言う。あたしはこれからこの人と一緒なんだと安心する。
「メリーホワイトクリスマス。」
あたしも答える。すると先輩があたしの頭を優しく撫でる。キスしたいけど、今はだめだ。
千花が動かないまま私をじっと見ている。前はこれが何を意味するのかわからなかったけど、今はわかる気がする。千花は最初から私しか見てなかったということを。本当にありがたい限りだ。
「ありがとう、千花。」
今回も初めて会った時のように千花が先に勇気を出してくれた。だから私は自分の臆病さと千花へのありがたさを合わせて千花に感謝の言葉を話した。千花はいきなりなんだろう的な顔をしたけど、私はただ笑って見せた。
「それよち朝は何にしようか。」
「あ、あたしはカレーが好きかな。先輩が作ってくれるカレー。」
カレーか。
「レトルトしかないけどいい?」
「実は先輩の作ってくれるものなら何でも好き。」
千花は照れ臭そうに笑いながら言った。本当にどうしてこんなに可愛いのだろう、うちの後輩は。
「わかった。ちょっと待ってくれ。」
千花が私が作ったものなら何でもいいと言ったが、私も千花のためなら何でもしてやれる気がする。千花とやりたかったことはたくさんあった。これからゆっくり、一つずつやっているということが楽しみだ。まずはご飯を食べてから一緒に雪を見に行くように誘うことにしよう。
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