第4話 未感染の一般的な女子高生(with男子高校生)

 朝、いつにも増して湿っぽい空気で、水が跳ねる音で目が覚めた。


 生温い風が踊り場に溜まっていて、下方から季節を勘違いした温暖前線が早すぎる夏を運んできたのかと疑いたくなるようなざぁざぁという雨音が響く。


 携帯で天気予報を調べてみると、関東のどこも今日は一日中雨だが明日には止んで、この暖かい気温も明後日には十数度まで戻ると予想している。


 現在、朝の四時五十三分。


 数日天下というか、どうやら出るのが早すぎた夏将軍は一日で勢力を取り戻した冬将軍に押され、撤退戦を演じる事になるらしい。そう考えると、ちょっと間抜けで面白い。


 濡れながらカッパか傘を見つけなきゃいけないってのは、ちっとも面白くないけど。


「はぁー……」


 朝ご飯にはまだ早い。きっと冴木さんも寝ているし。


「ったた……」


 立ち上がると、足の筋肉が少し痛んだ。昨日の内に食料の他にも色々と運び込んだせいだ。少しは今日に分ければ良かった……。


 まだ薄暗い階段には、衣擦れの音がやけに大きく響いたような気がする。しかし、そういえば、このところ喧騒と聞くと集まる物騒な奴らがいるし、耳が敏感になっていても不思議じゃなかった。


 階段の最後の一段を踏み止ると、目の前には雨除けの雨垂れに彩られた、灰色のビル群の壁がずんと並び立っている。


 そして、まるで風に煽られるカーテンのように、雨垂れとビルの壁との間で不規則に強弱を繰り返す水玉のオーロラを眺めながら、ふと、何となく、深呼吸をした。


「……はぁー……」


 あの、むせ返るような匂いが消えていた。変わりに雨の匂いというか、雨の日特有の空気感が肺に入り込んでゆく。


 なんというか、元の空気がこんなに新鮮だったなんて、忘れかけていた。慣れとは、かくも恐ろしいものなんだな……。


 そう思っていた僕だったが、数十分後に戻ってきた時には体が早く寒さに慣れる事を願うばかりだった。


「さ、寒い……」


 気温はそれなりにあるはずなのに、風が寒い。帰る時になって風が酷く吹くし、ぐっしょりと濡れて張り付くパーカーは熱を奪うばかりで、既にお腹は温度低下により悲痛な叫びを上げていた。


 ぎゅるるるる……地獄の底から響くケルベロスの咆哮の如き叫びは、括約筋を苦しめるのに充分だった。さっきトイレに行ったばかりなのに、また元気になるなんて……。


 それ以上に、このまま居たら間違いなく風邪を引く。


「……いや、ゾンビって、風邪引くのかな……?」


 まず果たして自分はゾンビであるのか、それは人は動物と何が違うのか証明するのと同じくらい学力的に難易度が高い問題かもしれないな……。などと、思いつつそれを考えても仕方ない事リストにぶち込みつつ、僕は素早く文字を打ち込んだ。


 とにかく寒いんだ。風邪を引こうが引くまいが関係ない。あったかいご飯が食べたい。


『朝飯、傘、取ってきました。開けて下さい。寒くてしにそうです』


 返事がない。既読になってるのに……。


 僕の顔が蒼白から土気色になり、もう雨の中で果ててしまおうかと心まで真っ白に燃え尽きかけた頃、ガチャリと音がして施錠が解除された。


 一歩一歩、間違いが起こらぬように細心の注意を払って踏みしめて上がる。


 登り切る頃には息も絶え絶えに、壁に体重を預けながら進んでいた。


 僕は身体的に若干の余裕を残しながら、精神的に全てを振り絞ってなんとか間に合わせた。


 室内に入った以上、この部屋で全てを消毒せねばならないので、脱ぎ、タオルで体を拭き、着ていた衣類を絞り、密閉して封印、更に個室の中にこれでもかと空間消臭、抗菌のスプレーをした後、アルコール除菌液を噴霧する。


 等々、とにかく考えうる限りの滅菌処置を施した僕は恭しく新しい着替えをバックから出し、まだ殺菌剤が漂う個室の中で着替えを済ませた。


 ちょっと湿っぽい長袖の白Tシャツと灰色のスウェットパンツを着て客室に戻ると、ソファ席の隅で足を抱え込んで、つまり、俗に言う体育座りというやつで顔を埋めた冴木さんが居る。


 一体何が……。


 そうは言っても、いきなり踏み込んで良いのかも分からないので、とりあえず空気清浄機を付けて、反対側の椅子に腰掛けた。


 椅子を引く音に反応して上げた顔は、酷い表情をしていた。あれだけ輝いていた目が死んで、ふとした時に笑っていた口元が感情を捨てている。


 僕は余りの変わりように面食らってしまい、恐らくハトが眼前に迫ったガトリング豆鉄砲の弾幕を目にしたような顔をしていたのだが、と言っても、マスクに眼鏡を付けているから彼女がそれに気が付いたかは分からないが、とにかく彼女はすぐにまた顔を埋めてしまった。


 完全に声を掛けるタイミングを失い、ふぉー、と呑気に空気を清浄化している機械の音だけが鳴り続けている。……この空気も正常化して欲しい。


 どのくらいそうしていたのか、沈黙に慣れてきて、こうしているだけでも案外気が楽になるのかもしれん。と自己満足し始めた頃に、まるで地の底から這い出てきたかのような声がした。


「ねぇ、景くんの親はどうなったの?」


 それはどこか責めるようで、僕は凡そ察した。たぶん、冴木さんは、親を亡くしてしまったんだな……。


「母さん、母親は行方不明。父親は音信不通。妹は千葉県沖に監禁されてます」


 言ってみると、俄然母さんが心配になってくる。妹は心配ないと言っていたけど、まあ、確かに、行動力の化身である母さんは身体能力の高かった妹に力の使い方の尽くを教えた張本人でもある訳で、心配するなと言われたらうんと頷いてしまいそうになるような強さを持っているが、それは平常時での話だ。


 倫理観も理性も何もない怪力オバケに囲まれたら、どんな人でも流石に無理だろう。それこそ、僕みたいに人間を辞めるとかしないと。


 うん。


 不安になってきた……。


「妹さんが、千葉県沖に監禁されてる……?」


 少し元の調子に戻ってきた気がする。人は本当に困惑すると、素で聞き返すようになっているのかも。


「えっと……換気口とトイレの個室と椅子と机がある、全面打ちっぱなしのコンクリート製で、鉄の扉が付いた部屋に監禁されて──」


「嘘」


 聞き取れるかギリギリの音量で、そうぽつりと言われた。


「……です……ね。しかし、僕には分かりません。本当はどこかで死にかけてて、心配させない為の嘘だとしても、それを信じるしか……」


 不安材料は増えるばかりだ。その可能性も充分にある。瑠璃華が気丈に振る舞うなんて見た事がないし、いくらなんでも気丈過ぎると思うけど、あれが嘘で、死にかけているのかも知れない。


「そう、だよね……ごめん」


 また黙ってしまった。


 空気清浄機が活動を辞め、完全な静寂になる。


 そんな中、ごく小さな音ですすり泣きしているんだと気がついてしまった。


「……どうして、謝るんですか?」


 きっと僕が辛気臭い顔をしていたせいだ。


 何があったんですか? なんて、聞くのは違う気がした。それは、今傷ついて血が流れる傷跡を抉るような、傷ついた根元を更に思い出させる事になるんじゃないかと思う。


 とにかく、それから気を逸らした方がいいと思っていた。だから、何か言ってもらって、


「皆んな……同じなのにっ……私だけなんじゃ、ないかっ……て、思ってて……」


 謝る事はないと言って……。


「嘘って……決めつけて、苦しいのは同じなのに……」


 失敗した。と思ったが後の祭り。


 ここで、謝らなくてもいい。と言った所で、どれだけ軽く意味のないフォローになるだろう。ヘリウムガスを吸引して言った方がまだマシだ。


 なんにせよ今を肯定しなきゃいけない。


 謎の使命感というか、焦りというか、とにかく苦しみを抱え込まないで欲しい、などと、厚かましい考えを拗らせる。


「……いいんですよ。苦しみを押し付けて楽になるのは、とっても良いことです。それで楽になるならそっちの方が、よっぽど良いんですよ」


 我ながら意味が分からなかった。こういう時、女性経験豊富なイケメンならきっと上手くやるんだ。


「あの……だから……です、ね……」


 焦りながらあたふたする僕を、冴木さんが見つめている。


 目線が合いそうになり、思わず机を見つめた。


「別に、もっと自由にして、辛い時は辛いって叫んでも良いと思うんです」


 チラリと様子を伺うと、どこかぽかんとして、呆気に取られているように見える。


 そりゃそうだ。


 こんな事いきなり言われて、誰が感心するのか。自分だったらお金を置いて帰っちゃうね。あー、恥ずかしい……。


 頭を振って恥ずかしさを振り払うと、僕はどうにか目の前の眼をしかと見つめ、


「上手く言えないんですけど、そういう感じです」


 そう締め括った。


 精神村には限界が訪れていたので、快く家を貸してやった。そろそろ休むべきだ。昨日から動きっぱなしで、早朝も起きていたし、このまま寝かせてやっても良いくらいだ。我が肉体ホールディングスはホワイト企業を目指していく。


 真っ白になった僕が全てを投げ出して椅子の上で灰になっていると、


「うん……ん……っぐ……」


 頷きながら泣いていた。全然泣き止んでいない。むしろ、何かが決壊してしまったみたいな勢いだ。


 僕は再び慌てふためいて、えっ、あっ、と言って様子を伺う機械と化した。


 そういえば、あの機械も思い出したように営業を再開していた。実はアイツ取り込んだ空気をスキャンしているんじゃないだろうか。







 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇






 適当にレトルトのご飯とカレーを温め朝ご飯にした。冴木さんはあれからずっと、塩で揉んで数日浸けたような調子のままだ。なにしろ喋ってくれない。


 ただ、表情はずっと良くなったと思う。この世には意味不明な存在もいると理解させられた中学二年生の頃の僕と同じくらいの顔つきには回復している。


 理不尽なのは分かった上で、無駄ながら抵抗しようと試みているような顔。なつかしい。


 食事中も喋らなかった冴木さんだったが、携帯の充電を開始して手持ち無沙汰になった僕が、持ち込んだ将棋を広げて、一人で打ち始めようかという時に声を発した。


「私、先攻でいい?」


「……どうぞ」


 歩を進める彼女は、心なしか勝負に目を輝かせているような気がする。


「……ボイスメッセージで、お父さんから途切れ途切れで、苦しそうな遺言が届いたの」


 四局目を開始してからしばらくして、飛車を容赦なく進撃させながらそう語り出した。


 今のところ僕が三連敗である。


「私の所に、向かおうとしてたんだ。娘を守るのは、守りたいのは、親として当然だって」


 磁石で張り付く安っぽい飛車を、ぺち、と本物の将棋盤に比べたらやや小さい将棋盤に貼り付けた。これが戦場を飛ぶように駆ける兵には見えない。


「それで、来る途中にっ……失敗、しちゃってたんだ」


 失敗した光景が脳裏に浮かぶ。瑠璃華も、もし父さんが確保して居なければ今頃……四、五人に囲まれ、脇腹や肩を齧り付かれた血塗れの瑠璃香が泣いて助けを求める光景まで連想してしまって、神妙な面持ちになりつつ角行を出陣させる。


「お母さんが、もうダメだった、って聞いた時に来なくていいって、言えたのに……」


 盤面から離した手で涙を拭う冴木さんを見ながら、僕は悩んでいた。簡単に「わかる」と宣うのは簡単だとしても、苦悩をを共有できるほどお互いを知っている訳じゃない。


「だから、私が……っ、私のせいで……」


 本来、相談相手には困らないのだと思う。春休み的な時期に部活動向きの格好で出歩くからには、学校に行っている筈で、部活の仲間も居るだろう。


 だけど、その学校が封鎖区域内だったとしたら。


 僕は弱いので、そんな状況になったら、多分、楽になろうと外出してしまうと思う。


 でも、昨日は戦っていた。


 すぐ隣に居座る死神に喧嘩を売り、あまつさえ殴り合いの死闘を演じて生還したのだ。


 そんな彼女ならば、周りの皆んなが居なくなって、一人になって絶望したとしても、そこから帰ってこれるんじゃないか?


「そんなこと、無いですよ」


 口の中がカラカラに乾いている。今の冴木さんの心境の一端を想像するだけでも、壮絶な状況なのがありありと分かっていた。


 そこから救い上げようなんて、傲慢な事はとてもじゃないが思えない。ただ、少しでも軽く、簡単に浮き上がってこれるように手伝いたい。


「誰のせいかなんて、そんなの、最初から決まってるんです」


 いやいやと振られていた頭が止まり、こちらを向く。


「ウイルスを撒いたテロリストが悪いんです」


 一瞬、彼女の瞳孔が開いた。僕の背後にブッタかキリストでも現れたみたいに大きく見開かれた目だった。


「だから、自分のせいにしないで下さい。テロリスト以外の誰のせいでも無いんです。彼らさえ、それを実行しなければ……」


 思わず目を逸らしてしまったら、僕は、二度と彼女の目を直視できない気がする。


「……うん」


 その肯定の言葉は、芯が入っていて、いやに乾いていて、あの目が開きっぱなしだった。


 もう紡ぐ言葉が無かった。何をしても逆効果になる予感しかしない。


「……さて、甘いものでも食べませんか? 紅茶もある事ですし……」


 僕が勤めて笑顔になって席を立つと、彼女は数回瞬きをして、深く息を吸い込むとこちらを向いて、本当に微かに、広角を上げた。


「うん」


 やっと彼女の、本当の笑顔を見た気がした。


 その顔は普段のニンマリとした笑顔より控えめで、でも、充分に笑っていると認識できる顔であり、殊勝な顔が似合う彼女らしさも充分に残していて、そんな超ド級の直線ストライクを不意に食らった僕は蛇に睨まれたカエルみたく、現実に直面したぼっちさながらにそこから視線を動かせないでいる。


「……?」


 彼女がきょとんとした顔になるまで、僕はしっかりと見つめてしまっていたらしく、気がついた時には恥ずかしさが列を成して到来していた。


「っ、と……な、なんでもないんですよ?」


 声が上ずって疑問系になってしまって、これじゃあ百年ぶりに人と話した不老不死のぼっちらしさ全開である。妹の五十年先を行く例えもバカにならない。


 同時にこめかみ辺りを人差し指で触りながらたじろぎ、目線を他の所に飛ばしてしまっているのも高得点なポイントだ。無意識で更にいい。百点だ。もしボッチコンテストがあったら優勝は間違いないが、今は全く何もかも良くない。


 これは「悪い癖を同時にいくつ出せるか」のギネスにも載れるな。うん。


「あぁ……景くんも男子、なんだね。やっぱり」


 その苦しそうな苦笑いは僕の人生の中で最も奥深く、心の深淵にぶっ刺さっていった。


 全てを察しているというか、男子との関係があるってのは、つまりそういう事だったのだ。


「まあ、そうですね。僕も男でしたね……」


 男として見られて居なかったとか、そんな事はどうでも良かった。築きつつあった信頼を破壊した罪は重い。何しろこの先、そうそう信頼なんて大そうなものは置かれそうにないし。


 今はその事に絶望するしかない。もういっそ女の子だったら良かったのに。異性なんて作らなきゃ良かったのに。あゝ現象は非常だ。


「じゃあ、今度こそ作ってきます……」


 僕はこの世を作った神か元素に当たり散らしつつ、気まずい空気を背中に引きずりながら紅茶を作りに行った。こういう時はティーブレイクだ。午後でも何でも無いけど、兎に角ブレイクするんだ。じゃなきゃ生きていけない。僕にはあの苦笑いを背負って生きていくなんて不可能だ。


 僕が作っている間、何をしているのかと怖くなりつつ音でなんとか判別出来ないかと耳を凝らした結果、恐らく将棋の続きを指していた。


 彼女にとって外界と唯一繋がる道具である筈の携帯は、もはや唯の鉄塊になりつつあるらしい。


 それがずっと充電コードに差しっぱなしだった事を思い出して、僕は又神妙な気持ちになっていた。


 ケーキを片手に戻ってくると、磁石の碁盤から駒を退けて机に積み、駒同士の磁石でくっ付く山と睨み合っている最中で、真剣な顔で駒を引いたり押したりしている。


「何してるんですか?」


「将棋崩しをしようと思って……」


「出来そうですか、新ルールとか」


 ケーキの乗った皿やフォークを並べながら聞いてみる。


「うーん……無理かも」


 奇跡的に駒の上に駒が乗って安定していたが、すぐにパチンと互いにくっ付いてしまう。


「ですね……」


 それを見て将棋崩しを退屈しのぎの候補から外しつつ、気になっていた小説や漫画の続きを持ってこようと決意して、淹れた紅茶をお盆に載せて運搬した。


「あ、砂糖ここに置いときますね」


 着くなり自分で取る彼女に砂糖の位置を言って、残すは挨拶をするのみ。


 壁に掛かった時計は十時半を指していて、朝御飯の抜けた丁度いいタイミングで、朝とも昼とも言えない時間だった。


「頂きます」


 特に何も考えずに食べて、飲むだけで幸せになれるんだから砂糖と牛乳とチョコとお茶の葉は偉い。この世で一番偉いと思う。美味いから偉い。


「あ゛〜……」


 脱力しながらそんな声を漏らして、いよいよ大雨の降る外を眺めた。


 これから学校が再開されて、新学期に友達と会えると楽しみにしていた青春してる人も、春の入社を控えて遊び倒す大学生も、アニメグッズを求めて遠出してきた仲間達も、皆んな等しくああなってしまったんだなと考えるとやるせない物がある。


 それで、僕は漠然と、この先のやる事を捉えていた。


「これからどうしますか」


 窓の外を見ながら、それとなく聞いた。やるとしたらまた死と隣り合わせになってしまうしな……。


 僕は、ここに一ヶ月くらい篭城するってなっても受け入れるぐらいの気持ちでいる。


「……生きてここを出る、かな。とりあえず」


 冴木さんはどうも、間違いなく変わらず冴木さんだったらしい。両親の死なんて重苦しい現実を受け止めた後に、一番危険で、当たり前な決断を下してのけるんだから。


「じゃあ……明日から頑張りますか」


 とはいえ、僕は休みたかった。


 明日からでもバチは当たらないと思う。


「うーん……ん、それがいいね」


 どうやら休みたいのはお互い様だったらしい。


 やっぱりまだ、僕らは人間なんだな。


 なんて、紅茶を啜りながら考えていた。

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一般男子高校生と感染症 煮卵 @Nitamago-o

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