第一章 チョンプー・パンティップ(ターベーブーヤ) 一九六七年

一.一 チャルンクルン(二ュー・ロード)


 一九六七年三月 バンコク


 三月のバンコクと言えば、朝晩はやや涼しく、ほとんど雨の降らなかった乾季がいよいよ終わりを告げ、一年中で最も暑い、空気がまるで沸騰でもしそうな季節の到来を予感させる時期だ。

 気温はじりじりと上がり始め、湿気が徐々に加わってくる。時折雷を伴った激しい雨が降る日があったりするが、雨はまだそれほど多くはない。


 東京から出張で来ている商社マンの左右田そうだ源一郎は、バンコクの目抜き通りの一つである、チャルンクルン通りにある日本の食堂で昼食を済ませた帰りに、強い日差しを避けるように建物の影があたる側の歩道を歩いていた。

 勤め先の商社のバンコクの現地法人があるスリウォン通りに近づいた辺りで、ふと後ろから誰かに声をかけられた様な気がした。

 女の声であった。

 声のした方を振り返ると、道端にタイ・スタイルの台形の「笠」を被っている果物売りの女がいた。

 まさか自分に声をかけたのではないだろうと思い、そのまま振り向いて行こうとしたら、果物売りが顔を上げて左右田に向かって何か言った。

『果物はいかが?』と言ったように聞えた。

 日本人の自分に向かって、いかにも自然に、タイ人に話しかけているような様子がおかしかった。

《タイ人だと思っているのかな?》

 左右田は、目がやや大きめなので間違えられたのだろうと思った。

 何となく、果物売りの言うことが分かった様な気がした不思議さも手伝って、足を止めた。

 果物売りは微笑みながら、スイカを指してまたタイ語で話しかけてきた。

 左右田には、『水気がたっぷりでとても美味しいですよ』と、聞こえた。

「そんなに大きいのはいらないから、その半分だけちょうだい」と、左右田は手振りを交えながら日本語で思わず言っていた。

『ちょっと待って』

 果物売りは切ってあるスイカを更に半分に切り、四角く切ったバナナの葉に乗せて『十サタンだよ』と言って差し出した。

 左右田は、ポケットにあるありったけの小銭を手に広げて差し出すと、果物売りは白くて並びの良い歯を見せて微笑みながら、左右田の手から小さめのコインを一つ取り、軽く顎で残りの小銭はしまう様に促した。

 その微笑に誘われるように、左右田は果物売りの隣の縁石に座ってスイカを食べ始めると、果物売りは道行く人にまた声をかけ始めた。

 時おり人通りが途絶えると、左右田の方を向いて微笑んだ。

『おいしいでしょう?』

 果物売りが聞いた。

 左右田は、丁度スイカにかぶりついたばかりだったので、返事が出来ずにうなずいて意思表示をした。生温かいスイカはあまりうまいとは言えないが、じっとりと蒸し暑い中でのスイカの水気をたっぷりと含んだ甘さが喉を潤した。

 だが、スイカは、ついさっき食堂で出回り始めたばかりだと言って出てきたマンゴーと一緒に、デザートで食べたばかりだというのを思いだした。

 果物売りの声と言えば、甲高くて押し付けがましく耳障りなものだが、この果物売りの声は慎ましやかで、耳触りがよく、ゆったりとした川の流れのような音楽を聞いているようであった。 

 平らに近い直径六十センチほどの丸い竹籠に敷かれたバナナの葉に広げられた果物には、紫色をした蘭の花がいくつかあしらってある。

 果物売りは体にぴたりと合った真っ黒な色の綿の長袖のシャツに、腰にはやはり真っ黒なパーヌン(スカート様の腰に巻いて装うもの)を着けていた。シャツの襟や脇の下には汗がにじんで広がり、汗が乾き始めた辺りには塩が白く浮いて、黒い布地に汗の縁取りが出来ている。

 笠をかぶっているので顔の全体像は分からないが、やや色が白く面長の整った顔立ちで、全体的に華奢な印象だ。タイ人にしては珍しく鼻の頭と頬に「そばかす」が出来ている。暑さの中で小鼻に浮いた汗が少女の面影を際立たせている。。

 年の頃、二十才過ぎぐらいであろうか。

『もっといらないの?』

 左右田がスイカを食べ終わってしまうと、母親が子供に聞くような優しい声で果物売りが聞いた。

「いやいや、もうお腹がいっぱいだよ」

 左右田はお腹をさすった。

 暑い空気は湿気をたっぷり含み、風が無いために車の排気ガスがそのまま沈殿していて、あたりはどんよりと霧がかかったようで、蒸し暑さが一層ひどく感じられる。暑さと湿気と騒音と排気ガスで、昼を食べたら足早にオフィスに戻りたい所だが、果物売りの隣に座っていると、そこだけが別世界のようで何か落ち着いた。

 左右田はタバコに火をつけた。「クロン・ティップ」と言う現地のタバコだ。ソフトパックのデザインは涼しげなスカイブルーを基調に使っており、片面はタイ語で、もう片方は英語が印刷されている。

『タバコを吸うの?』

 果物売りは、タバコをふかすような仕草をした。

「うん」

 二人の会話に何ら支障はなかった。

「それじゃー」

 しばらくして、左右田はタバコを吸い終わると深い息をし、立ち上がりながら果物売りに向かって言った。

『もう行くんですか?』

「うん。じゃあ、また」

 左右田は、うなずきながらそこを去った。


 チャルンクルン通り(通称ニュー・ロード)は、十九世紀の半ばラマ四世、モンクット王の時代に敷設されたバンコクで初めての舗装道路で、北は王宮からチャオプラヤ川にほぼ沿って南に下りラマ三世通りにぶつかるまでの九キロ弱の長さの通りである。

 この時代バンコクの中では最も交通量の多い通りの一つで、一九六三年まで走っていた路面電車の線路のレールが所々に頭だけ出して残っている。走っている車は、ヨーロッパ系の車に日本車が混じっている。

 一九六〇年代初めのタイの自動車産業政策の変更に呼応して、数年前から日本の自動車会社がタイで日本車の組み立て(CKD=コンプリート・ノックダウン)を始めている。

 「サムロー」が、その別名「トゥクトゥク」などという優雅な音ではなく、むしろバリバリという音を発しながら行き交っている。

 「サムロー」というのはタイ語で「三輪」を意味し、通常は荷台を客席に改良したエンジン付き三輪タクシーをさす。ただ、自転車を改良したような三輪の人力車も多く走っているので、エンジン付きのはそれと区別するのと、そのエンジン音をまねて「トゥクトゥク」とも呼ばれている。

 通常の四輪のタクシーに比べ料金は概ね半額ぐらいで、庶民の重要な交通機関のひとつとなっている。

 このサムローは日本の「オート三輪」が原型と言われている。

 そうしたサムローの音に混じって、車同士がまるで大声で怒鳴り合っているかのように、クラクションをやたらかまわず鳴らして走っている。

 前の車が理由が何であれ止まれば「プップー」、隣の車が自分の方に少しでも近づくそぶりを見せれば「プップー」、自分が角を曲がりたい時に「プップー」と、何でもかんでも「プップー」である。これだけ「プップー」やればクラクションがこの国では「消耗品」だと言うのも頷ける。

 通りの左右には、二、三階建の商店がずらりと軒を連ねている。中国南部や東南アジアで良く見られる、一階が店舗で二階や三階が住居と言ういわゆる「ショップハウス(店屋)」スタイルである。

 日系企業が比較的集まっていると言われているスリウォン通りやシーロム通りがチャルンクルン通りにぶつかる一帯はビジネス街の中心でもあり、有名なオリエンタル・ホテルの他、様々なクラスのホテルが多い事もあって、外国からのビジネス客や観光客目当ての洋服の仕立て屋や宝飾店が多い。これらの店の多くははインド、パキスタン系や中東系の人達がやっているようだ。


 次の日の昼時、左右田がスリウォン通りにあるオフィスを出た時は快晴であったが、昨日と同じ日本の食堂でお昼を食べ始めていると、空全体に不吉な黒い雲が広がり始めたと思った途端、辺りが暗くなって来た。

 暑い空気を押し分けるように、時折やや冷気を含んだような風が窓から吹き込んできて、街路樹の葉がさやぎ始めたと思ったら、稲光とともに雷が鳴り響きわたり、一気にボツボツと大粒の雨が激しく降り出した。

 にわかな風雨の中、人々は商店の軒先などに避難した。辺りは暗く、すさまじい雨で通りの向こう側がほとんど見えない。強風に煽られた雨が左右田の座っている近くの窓越しに降り込んで来る。

 三〇分程して空が次第に明るくなって、雨脚が弱くなり始めた。

 食堂の日本人の店主によると、この驟雨はやや遅めだが「マンゴー雨」と言うそうだ。バンコクでは二月から三月にかけて乾期には珍しく雨が降り続くことがあるが、ちょうどマンゴーが熟し始めてくる時期なのでこれをマンゴー雨と呼んでいると言う説があるそうだ。

 一方、一月末から二月にかけてマンゴーの花房を濡らす雨がマンゴー雨だという説もあって、開花時期にお湿りがあると花房が落ちずに実が付きやすくなると言われているのだそうだ。いずれにせよ、乾季に降る雨のことそう呼んでいるらしい。

 日本の「梅雨」が一説では梅の熟す頃の雨と言うのを思い出させる。

 すっかり雨が上がってから左右田は食堂を出た。

 来るときにはいなかった昨日の果物売りの女が、昨日と同じ場所で、真っ黒く長い髪の毛を小さなタオルで拭きながら乾かしていた。服が濡れたのか寒そうに少し震えている。

 果物は雨から守る為かバナナの葉っぱですっぽりと覆われたままになっている。

 左右田が日本語で「びしょびしょだね」と言うと、女は何を言われているのか分かったかのように、親にでも叱られたような顔で小刻みに震えながら、『大丈夫』と言った。

 左右田にはそう言っているように聞こえた。

 左右田はポケットからハンカチを出して髪を拭くような格好をして彼女に渡し、「ここで待っているように」と言うような仕草をして現地法人のオフィスまで戻った。5分ほどの距離だ。

 ちょうどお茶くみの中年女性がいたので手ぬぐいタオルを二枚もらって、果物売りの所に戻ってみると、既に果物を並べていた。

 服がまだ濡れているので、タオルを肩にかけるように仕草で示して女に渡すと、『ありがとう』と言って微笑みながら羽織った。

「寒くないか」と身振りを交えて聞いたが、曖昧な微笑みが返ってきた。分からなかったようだ。

 しばらくして女が、ハンカチとタオルを手にして、どうしようかと言うような顔をしているので、左右田は『マイペンライ・クラップ(大丈夫です)』と、初めてタイ語で言った。

 きっと彼女は濡れたまま返したくないと思っているのだろうと思い、返さなくていいというつもりで言った。左右田の知っているタイ語はあとコォップン・クラップ(ありがとうございます)だけだ。

『今度会った時に、このハンカチとタオルを返します』

 女がそういったように聞こえた。だが、女は「通じていないでしょう?」という顔をしている。

 左右田は分かったかのように会釈をし、短くさっぱりと刈り上げた頭から吹き出る汗を拭きながら、女の隣の縁石に座ってタバコをふかした。


 次の日、左右田は現地スタッフに同行してもらい、朝から昼過ぎまでドンムアン空港の北西にある建設中のポリエステル原綿生産工場に行った。

 オフィスに帰り報告書をまとめ終えたので、あの果物売りがもしいたらタバコでもふかそうと思って行ってみると、夕方近くなのに彼女は同じ所にいて道行く人にあの優しく音楽のような口調で声をかけていた。

 天秤棒を担いで物を売り歩く商売は、時間や季節によって場所を変えることが出来るのが最大のメリットだが、いつも同じ場所にいるのはあまり商売熱心ではないのかなと思いながら、スイカを食べてから煙草を吸った。


 果物売りの所に何度目かに行くぐらいから、左右田は小型の英語・タイ語とタイ語・英語の辞書を持っていくようにした。だが、辞書を使うようになったとたんに、お互いの意思疎通が悪くなったような気がした。

 しかし実際は、お互いに対する興味の膨張に意思疎通が反比例していたのである。

 彼女の名はプラニー・ムンポットジャーンと言った。

 自分の名前はソウダだと言うと、女は「ソーダー」と語尾を上げて言うので、違う「ソウダ」だと直すと、うんと言いながらもまた、「ソーダー」と、直らなかった。

 で、自分は日本人だと言うと、やっぱりと言う顔で、左右田から辞書を奪いとってまどろっこしそうに言葉を探し、自分の胸を指さし次に辞書の「父親」、「日本人」の部分を興奮を抑え切れない様子で指し示した。

 左右田は「ほー」と言ってまじまじとプラニーの顔を見た。

 辞書を返してもらい、言いたい言葉をいくつか見せたりしながら、身振り手振りを交えて、「それで分かった。顔が少しタイ人とは違うし、肌も少し白いような気もするし、ソバカスなんかがあるしね」と言いながら、鼻や頬の辺りを点々を描くように指しながら言った。

 彼女はソバカスと言ったところでニヤリとしながら辞書を取り返し、あちこちのページに折り目を付けてから、『父の名前はサトー・タカノブ。日本のトヨハシーと言う所の出身で、ナコンパトムで母と恋に落ち自分が生まれたの。父は昔の日本軍の兵隊で、ビルマで戦死したの』と、言った。

 ところどころは想像だが、辛抱強く聞いていると彼女がそう言っているように左右田には聞こえた。


 ナコンパトムはバンコクから西に、「戦場に架ける橋」と言う映画で名前が知れている、カンチャナブリの方向に行く丁度その中間地点辺りにある比較的大きな街で、距離的にはバンコクから三十キロ辺りに位置する。

 世界一高いと言われるプラパトムチェディーと言う黄金の大仏塔と、十五メートルを超える黄金の立仏像で有名な街である。


 プラニーは、左右田の顔を覗き込むようにじっと見つめながら、自分の話を信じているのかどうか様子を窺っているかのようであったので、「そうなんだ」と言いながら信じている風の顔でうなずいた。

 彼女は安心した顔で嬉しそうではあったが、日本の兵隊と現地の娘との間に子供が出来てしまうという話はよく聞く話しだなと思いながら左右田はオフィスに戻った。

 戻る途中で、ふと大通りから入った細い道の少し奥を見ると、桜の様なピンクの花が満開に咲いていて、その木の下の地面にはピンク色の絨毯がまるで敷かれたようになっていた。

 左右田は、まさかバンコクに「桜」なんて無いよなと思いつつ、近寄ってみると大きめのつつじぐらいのややラッパ状になっている花で、桜とは似ても似つかない花ではあったが、遠目には結構桜に見えた。

「タイ桜」と現地の日本人の間で呼ばれているこの花は、タイではチョンプー・パンティップあるいはターベーブーヤ、日本ではモモイロノウゼンと呼ばれている。南米原産で比較的近代にタイに持ち込まれた花だ。一月ごろから咲き始めて、咲いては散り咲いては散りで、4月ぐらいまでは咲いている。

 この花の他にもピンクの花をつけることから、「タイ桜」あるいは「桜もどき」と呼ばれる花もあるようだ。


 花と言えば、年中暑くて季節感に欠けると思われているタイだが、折々に咲く色とりどりの花や、市場などに出回る多種多様な果物などで、季節の「うつろい」を感じることが出来るのだ。

 また、それぞれの季節に催される様々な仏事や農事にまつわるお祭りなどからも、季節の巡りを楽しむことが出来る。

 リーラワディ(プルメリア)が静かに咲き、タイの国花のラーチャプルク(ゴールデンシャワー)が、金色の房を滝のごとく見事に垂れ下げると、「暑季」の代名詞であるソンクランがやって来る。

 四月中旬に行われるタイの正月のソンクランは、水かけ祭りとしても有名で、近年の無礼講の水のかけ合いは一年で最も暑い四月のタイの風物詩だ。この時期はいわば農閑期にあたり次の稲作の準備にそろそろ入る時期である。

 鳳凰木(火焔樹)が緋色の花をつける五月になるとやっと暑さのピークを過ぎ、雨の降る日が徐々に多くなり、雨季に向けての五穀豊穣を願う春耕節のお祝いが催される。

 タマリンドの花が咲き始めて、鳳凰木の花が散り始める六月になると「雨季」が始まる。

 雨季と言っても日本の梅雨の様にしとしとと何日も降り続く事はあまりない。曇りがちで一日一、二回一定の時間に急に黒い雲が広がって三〇分からせいぜい一時間半ほど驟雨があると言う日が比較的多い。

 一方、すっかりは晴れ渡っているところに急に黒雲が発達し驟雨が来た後、まるで何事もなかったように青空がまた広がることもあったりする。

 雨季の始まる頃には、一年のうちで一番聖なる日であるヴィサカブッチャ(仏誕節)がある。日本では四月はじめの灌仏会がこれにあたるようだが、タイでは陰暦六月の満月の日(新暦の五月か六月)に行われる。この日はお寺に行ったりして一日静かに過ごす日となっている。

 「暦の上」での雨期の始まりは、僧侶がお寺にこもって修行を始める陰暦八月の満月の日(新暦で七月ごろ)のカオパンサー(入安居)の日からだ。 

 果物が一年のうちで最も豊富な時期は、四月半ばのソンクラン辺りから雨期に入る六月頃辺りまでで、それぞれに旬の時期はあるもののほぼ一年中出回っているスイカ、パパイヤ、バナナ、パイナップル、パッションフルーツなどに加えて、果物の王様と女王様と言われるドリアンとマンゴスチン、それにマンゴー、ライチー、ランブータンなどが旬を迎えて市場を賑やかにする時期でもある。

 釈迦頭ノイナー、ザボン、竜眼、ロンコンなどの食べごろは雨季の間で、旬の時期は出回る量も多くなり、値段も安くなる。

 タイにとって最も重要な稲作は、雨季を待って作付が始まり、雨季の間が生育期間である。

 バンコクが位置するタイの中央部では十月に入ると稲の収穫が始まりそれが一月ごろまで続く。

 黄色のひまわりの花が市場に出回り始める十月の下旬から十一月になると、長かった雨季も終って「乾季」に入る。それまで毎日のように降っていた雨はぱたりと降らなくなる。

 この時期、上流で大量に降った雨がじわりじわりと下流のアユタヤやバンコクに押し寄せ、排水が間に合わずに川から水が溢れて、年により大洪水になる事がある。

 「暦の上」での乾季の始まりは、僧侶が修行を終え、人々がお寺にお参りに行く陰暦十一月の満月の日(新暦の十月ごろ)のオークパンサー(出安居)の日からだ。

 農作物の収穫に対する水の神様への感謝を捧げる為の、ロイカトーンという「花灯籠流し」のお祭りが、陰暦十二月の満月の日(新暦で十一月ごろ)に行われる。

 乾季に旬を迎える果物は、パパイヤ、蓮霧ローズアップルとスイカなどだ。

 最も涼しい一、二月頃になると色とりどりのブーゲンビリヤの花が色鮮やかに最盛期を迎え、タイ桜がそろそろピンク色の花をつけ始め、二月、三月と咲いては散りを繰り返しながら、四月になるとプルメリアやゴールデンシャワーと覇を競うようにして、我々の目を楽しませてくれるのだ。

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