帰路

自転車にまたがり帰路につく。道路には不安げな人たち、ラジオを聴く人、渋滞で少しも動かないクルマ。自転車万歳なんて思った

 下り坂を軽快に降りていくと救急車に追いついてしまった

 さすがに抜くわけにもいかず後ろについて走った。

 道中水道管が破裂していた。店の看板が落ちていた。雪が降ってきた。僕はなんだかおかしくて笑ってしまった。あまりの出来事に頭がおかしくなってしまったのかもしれない

 卸町をぬけ七北川に架かる橋をわたるのですが橋と道路に20センチほど段差がついていた。自転車なのでかつげば済むが車は無理そうでした。

 橋をわたると辺り一面水浸しになっていた

この辺も水道管が破裂したのか?と思いつつ歩いていくと車の上に人が座っていた

 これはいったいどうなっているのですか?

とたずねたところ 津波にやられたとのことでした。

 さて、これは困った。この先とてもじゃないが進めそうもない。ボートでもあれば良いがそう都合よく浮いているわけもなく、引き返すことにした

 高砂方面に向かい45号線を行くことにした。このあたりは水がなく自転車にのった

 相変わらず渋滞。その中に自衛隊の車両を発見した。この緊急時に呑気ですなと思ったのだが中野栄のあたりで事情がわかった

 このあたりも津波が押し寄せ被災した車で道がふさがっていたのだ

 僕はなかばヤケクソで歩いていくことにした。そろそろ夕暮れで水が冷たく感じた

 本屋のあたりは爆弾でも落とされたかのように車が重なっていた。ふと足元を見ると日本酒の小瓶があったので拾ってリュックにいれた。

 この先の状況が良くなるとは思えなかったのだが家に帰りたかったので行ける所までいくことにした

 パチンコ屋のあたりで立体駐車場から声をかけられた。この先胸まで水があるから戻れと叫んでいた

 仕方なくパチ屋の正面入り口に腰を下ろした





















 

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