第2話大好き

ーー洞窟の中は暗くて怖い


「鏡」を通して洞窟に来ると、「現世」とは時間が違うために


たくさんいても、直後くらいしかたっていない


一か月で、入る直後だといえばわかるだろうか、そのくらい違う



ーー黒い霧みたいなものがあたりを埋め尽くす、「瘴気」だ


瘴気とは毒のようなもので、洞窟の中にいながら「現世」の人間を侵し

ちょっとずつ人間の体内構造を壊していく

(--毒か、)

彼は、刀の塚に手をかけるーー「瘴気」を断ち切るのだ


黒霧が晴れていく――だが、黒い霧には意思があるように、まとわりつく


白刃一閃ーーきらりときらめいてーー黒い霧が消える


だが、黒霧を作り出した存在は奥にいるのだそれが、「妄執」と呼ばれる


ーー人間が、変化した異形ーーこれを捕まえ、治療する施設までもってこい


それが彼らの仕事だ



ーーまるで、らせんを描くように長い爪が頬をかする


涙を流しながら、狂気的に舌を出す

「肉、肉食わせろ」


ーー体は人間だ、だから、殺すわけにはいかないーーなにより、殺生はできるだけ市内に越したことはないのだ


みねうちで、刃を収める



ーー洞窟に出ると、「鏡」の世界に移住している人たちに、会う


「お帰んなさい」

「おかえり」


それは、鏡の世界に建てられた「対妄執用の施設だ」


ーー塀、に、真ん中に、いけ―池の中には,鯉が泳ぎ、松と柳がそよそよと風に揺られている


「ただいま」

「おかえり、今、楓(かえで)が、飯用意してるから、すぐ、あがっといで」


ーー一か月くらいで交代する「隊士」のなかに、「まかない」を作る人も当然ながらいる

まぁ、だからといって「戦わない」わけでもないのだが、基本料理に集中するといっていいだろう


「わかった」


ーー夕飯の時間である、運ばれた膳を、一人ずつ目の前において、おひつにしゃもじを持って待機してるのが、「楓」だ

楓は、男か女かわかりにくい、見た目をしているーー服装だってみんな、着流しのため余計に

楓が白、緑村が、「黄色」とかそういうふうにわけである


「--それでは会議を始める」


夕飯の時間は、緑村にとって一種憂鬱ゆううつな時間でもある


ーーなぜなら、「会議」があるから


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