第13話 鑑定スキルはチートです。
宝物ガーディアン戦が始まった。
『がぁぁぁぁ』
「そうはさせないでござる!」
善次郎さんはガーディアンの攻撃をパリィを使って受け流す。
パリィはうまく決まったようでガーディアンは体勢を崩し、スタン状態の判定も入ったようだ。ラッキー!
いや、パリィを得意とする侍職で上位プレイヤーの善次郎さんからしたらこんなのは当然なのかもしれない。
しっかりと追撃でダメージを与えている。
俺も一緒に数回攻撃を加えたが、物理攻撃は耐性があるらしく、ダメージはあまりない。
そこにタマ子が鑑定スキルをかけた。
鑑定スキルは相手の体制が崩れていたり、相手が状態異常になっていれば通りやすい。
パリィからの鑑定スキルは俺たちがパーティを組んだ時の鉄板戦術とも言える。
「通ったにゃ。属性は鋼にゃ。種族はアイアンゴーレム。弱点部位は。あ!」
どうやら鑑定スキルをかけている途中でスタンが切れたらしい。
タマ子は普通の敵ならスタンなしの状態でも鑑定を通すことができるはずだ。
スタンが切れたことで鑑定が通らなくなったと言うことはこのガーディアンは相当高いステータスを持っているのだろう。
俺たちは一度ガーディアンから離れた。
「どうするでござるか? もう一度スタンを狙っても問題ないのでござるが。おっと」
どうやらターゲットは善次郎さんになっているらしい。
俺も結構ダメージを与えたつもりだったが。届かなかったか。
俺は善次郎さんが攻撃を受けているうちにインベントリから昨日も使った『フレイムソード』を取り出して装備した。
そして、善次郎さんに夢中でガラ空きとなっているガーディアンの背中へと攻撃した。
『がぁぁぁ』
効果は抜群のようだ。
ガーディアンは俺の方へと向き直り、攻撃してくる。
どうやら、次のターゲットは俺のようだ。
「弱点属性が火みたいなので、このまま削りきれると思います」
「そうでござるな」
ターゲットが俺に移ったことで自由となった善次郎さんは武器を持ち替えている。
おそらく火属性のついた武器なのだろう。
「にゃー」
『がぁぁぁぁ』
タマ子も武器を取り替えたらしく、探検で連続攻撃を決めている。
「そうにゃ。このままやっても倒せそうにゃ」
HPバーを見るとかなりの勢いで減っていっている。
そうこうしているうちにHPバーは黄色へと変わった。
その証拠とばかりに、ガーディアンは一番近くにいた善次郎さんに連続攻撃を加えている。
「・・・」
「ケーマ?どうかしたのかにゃ!嫌そうな顔をして」
少し離れた場所でその状況を見ていたケーマは嫌な予感がしていた。
それが顔にまで出ていたのか、タマ子は心配そうにケーマに話しかけてきた。
「いや、実は・・・」
俺は昨日の話をする。
そして、ここまでの挙動が昨日のボーナスボスに似ていることも言った。
「にゃー。最後に自爆は面倒にゃ」
「この連続攻撃が終わったら善次郎さんにパリィしてもらうか?」
そんな話をしていると、善次郎さんが大声で言った。
「了解したのでござる。パリィは拙者に得意技ゆえ、いくらでも頼ってくれて問題ないでござる」
どうやら俺とたまこの会話が聞こえていたらしい。
というか、あの連続攻撃を全て受け流しながら周りの会話まで聞くとか、もう神がかっていると言えるかもしれない。
「お願いするにゃ!」
タマ子がそう答えると同時に、連続攻撃が終わったらしい。
剣戟の音が聞こえなくなった。
念のため善次郎さんが距離を取ると、ガーディアンはゆっくりと回転し出した。
どうやらこいつの挙動も使い回し説が濃厚だ。
「ぬん!」
すかさず、善次郎さんはガーディアンに対してパリィをする。
その隙にタマ子はできるだけ近づいて鑑定スキルを使う。
鑑定スキルは対象が近い方が成功率が上がるのだ。
俺はそんなタマ子の護衛のためにタマ子のすぐ後ろに立つ。
この鑑定スキル、どこまでデータを確認できるのかというと、答えはどこまでもだ。
あるプレイヤーが試したところ、結局ゼロと一で構成される元データまで見ることができたらしい。
いわゆるちチートスキルの一つだ。
しかし、このスキルを取っている人はそれほど多くない。
なぜなら、このスキルの扱いがとても難しいからだ。
『目を凝らす』のような特殊なモーションが必要で、前提条件として、リアルで目が良くないと使えないようなものらしい。
何をどう鑑定するなどの動作を全て眼球の動きで制御する特殊スキルなのだ。
そのため、他人に教えることが難しく、習得しているプレイヤーは少ない。
「わかったにゃ。ケーマの言った通り、黄色が回転攻撃。赤が自爆にゃ。きゃ!」
「おっと」
タマ子が鑑定を終えるとほぼ同時にガーディアンは動き出した。
無防備だったタマ子が攻撃を受けそうだったので、俺はタマ子を抱えて後方へと退避した。
ガーディアンは俺たちを無視して善次郎さんの方へと向かって行った。
まあ、ターゲットはあっちだろう。
「大丈夫か?」
「うん。大丈夫・・・じゃなかった。大丈夫にゃ」
タマ子は少し顔が赤いように見えたが、どこかにぶつけたのだろうか?申し訳ないことをした。
俺も立ち上がってガーディアンの方を見ると、善次郎さんがパリィをしながらちょっとずつ削ってくれている。
最後の自爆がなければ彼一人でも倒せそうだ。
「大技で削り切るにが良さそうにゃ」
「そうだな」
俺たちはそう言って善次郎さんの援護に入っていった。
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