第33話「6月19日詳しい人詳しくない人②」

資料を揃えてしばらく練習した。



しかし、練習を繰り返してまで描き上げた清書せいしょが、





やっぱり手抜きだ。


付け焼き刃な画力のせいで、描き込みが足らない気がする。



知り合いに見せてみた。

絵に詳しくない人に見せると、欠点をハッキリ言ってくれるのだ。

「ひまわりをもう2本描いてみたら?」

「ひまわりは濃く描かないの?」

案の定みんな、上手く描ききれてないひまわりを指摘してくれた。


確かにひまわりはいまいちだ。



そして、欠点はこれだと言ってくれるが、こうしたら良くなると言う改善策は、詳しくない分、具体的な言葉にしにくいのか、想像しにくいのか、言葉として表現出来ていない。




お丁寧にお礼を言った。


絵に詳しくない人には、欠点を聞く。

そうするとズバズバ言ってくれる。



絵に詳しい人は欠点をなかなか言わないから、


詳しい人には改善策を聞くのだ。





また、社長に聞きに行った。

「頑張って描きました」


「素敵じゃない!」

「夏よねー!」

やはりベタ褒めである。




どうしよう。

改善策を言って貰えるのだろうか。



そこで、私は聞いてみた。

「この絵で入選をもらうのは難しいと思うのですが」

社長の眉毛が動き目が細くなる。

「小さなひまわりをいっぱい描いてみたらどう?」


よかった。

すんなりではないが言って貰えた。


この「入選をもらうには」と言う言葉、結構使い勝手が良いようだ。

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