第32話「6月18日ひまわり」

しかし、背景か。

背景は苦手である。

苦手だから、ぼかした墨のハイライトを背景として入れたのだ。

確かに私自身手抜きっぽく感じていたが。



よし、描くことにするか。



大慌てで背景の資料を探した。



色んな人に背景のモチーフは何がいいかアドバイスを貰うが、その中の1人が、

「ひまわりなんてどう?」と言ってくれた。


「いいですね。私も花が描きたかったんです」


ひまわりは夏の花だ。

夏生まれの私に似合う。


■■解説■■

松竹梅などは水墨画家なら1度は描くのでお手本がゴロゴロあって真似しやすい。

が、ひまわりはそうそう見かけない。お手本を見かけない題材を選んだ場合、画家のセンスと実力でかなり差が開く。絵は没骨法もっこつほうだと難しいので鉤勒法こうろくほうで描くつもりかな?しかし背景に鉤勒法は向かないぞ。


ハイライト=主体の物に強調効果を付けることをハイライトと言う。部分的に色の濃淡をって強調させる。お化粧でもハイライトって言葉使うじゃーん。

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